第7話 大掃除

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「そうですね。そうだといいです」 「まぁ、こんなのは僕たちの都合のいい解釈だな」 「それでも、四季さんはそうだと思いたいです」 「ワンッ!」 「お、ライラ。今の話、聞いてただろ? 四季には言うなよ?」 「クゥーン」  ライラは「なんで?」と言いたげな顔をしていたけど、私からもお願いしたい。  今ここでした話は、四季さんには聞かれたくないと思った。  少なくとも今は、私たちの自分勝手なイメージを、四季さんにあてはめていたい。  実際のところ四季さんが、どういう気持ちでいるか、どういう過去があったのかはわからない。  いつか四季さんの本当の気持ちが聞けるときがあれば、そのときは話してもいいと思う。  だけど、そんな機会はしばらくないだろう。  そのときに私が、この会話を覚えていられるかはわからない。  だけど、このライラックの甘い香りを感じたときに、ふと思い出せればいいと思った。 「倉じい、ライラの小屋の掃除、終わったよ」 「ワンッ、ワンッ」 「おぉ、終わったか。どれ、きれいになったか」  陸くんから声がかかって、この話はいい感じに結論が出ないまま収束した。  一人になった私は、もう少しこの香りを楽しんでいたかったから、しばらくこの場から動かなかった。  少しして陸くんが家に入るよと声をかけてくれて、私も一緒に中に入った。  その頃には大掃除はほとんど終わっていて、きれいになった勿忘荘を見渡して、私の気持ちはスッキリとしたものになった。
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