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それはさておいて、暗くなる前のほうがいいだろうと倉じいが言ったから、大掃除の締めくくりとして、全員で写真を撮ることになった。
呉本くんが道具を用意している間、私たちは撮影場所と立ち位置を考える。
「場所はこのへんかな?」
「え、向こうじゃない?」
「でも、それだと後ろの植物が一致しなくないかな」
「昔と地形が変わってるのかもしれないわよ」
「え、これってそんなに古い写真なの?」
「陸くんが考えてる地形の変化とは、ちょっと違うんじゃないかな」
「別にそこまで忠実に再現することはないだろ。今の勿忘荘で、いちばんいい位置で撮ればいい」
「おぉ、さすが倉じい。じゃあ、それでいこう!」
「でも、いちばんいい位置ってどこ?」
「確かに……」
「そ、それは、四季さんが決めたらいいんじゃないですか?」
「そうね、莉亜ちゃんの言う通りよ」
少しだけど私も、こういう会話に参加できるようになった。
私だってちゃんと成長しているんだと、自分で自分をほめたい。
「じゃあ、ここなんてどうかな」
四季さんが示したのは、勿忘草が植えられている一画だった。
さすが四季さん。やっぱりこれは外せないよね。
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