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「太陽のことなんて全然考えてなかったわね」
「上から撮れば、なんとかなるんじゃないか」
「でも、今回は健太も入るんでしょ?」
「呉っちの力で太陽くらい消せるんじゃないの?」
「ある程度は、調整できる」
「え、そんなことできるの?」
「と、とりあえず、一回試しに撮ってみませんか?」
「そうだね。どうしても難しければ、場所を変えればいいよ」
四季さんはそう言ったけど、私はここがいいなぁ。
みんなと勿忘草が一枚に収まる写真なんて、想像するだけで素敵だもん。
四季さんが片方の端に立って、反対側に呉本くんが入る。
残ったみんなは勿忘草の前で体を寄せ合い、できるだけ小さくなって、呉本くんがセットしたカメラに注目した。
斜め前から差し込んでくる陽の光は確かにまぶしかったけど、目を開けていられないほどではなかった。
あとは写真の出来上がりがどうなるかだけど、こればっかりは祈るしかない。
シャッター音を確認して、前列にいた私たちは崩れるようにバラバラになった。
これはこれで楽しかったけど、何度もやるものじゃないかな。
「どう?」
「ちょっと待て」
「私、目をつぶっちゃったかも」
「ライラ、ちゃんと前向いてたかな」
「ワオーン」
「おいおい、確認する前からテイクツーは確定か?」
みんなが口々に思ったことを口にしている中で、呉本くんが四季さんにカメラの画像を見せた。
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