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「おはようございます」
「あぁ、おはよう。莉亜、今日もごくろうさん」
そう言って私を迎えてくれたのは、このアパートでは最年長になる、倉じいこと倉澤哲夫さんだ。
二年前まで学校の先生をしていて、定年退職をした今はここでのんびり過ごしているとのこと。
とても気のいい人で、この人に商店街を案内してもらったこともある。
「おはよう、莉亜ちゃん。すぐに朝食でいいかしら?」
「あ、はい。いつもありがとうございます」
そう言って台所から声をかけてくれたのは、ここでは料理当番になっている佐伯静子さん。
近所の商店街にあるお弁当屋さんでパートをしていて、料理がとても上手だ。
倉じいと一緒で、日々の暮らしに関していろいろとサポートしてもらっている。
「おはよう……兄ちゃん、姉ちゃん」
「陸、お箸とか出して目を覚ましなさい」
「ふぁい……」
陸と呼ばれたこの子は、静子さんのお子さんで、現在中学三年生。
普段は活発で礼儀正しく、陸上部に所属していて、力仕事をよくしてくれる。
今は起き抜けだからか、動きに精彩を欠いているけど、これはこれで子どもらしくていいと思う。
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