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そう言って地団太踏む江玉に髪を掴まれて、後ろに引きずり倒された睡蓮がけたたましく笑った。
「あはははは!」
「なにを笑っているんだ、この色狂い」
「豚のような女、いつも食い物を漁って金をねだる卑しい女!江滝、こんな気持ちの悪い女、捨ててしまえ、殺してしまえ!」
そう、睡蓮が叫んだ。
そうすると江滝がゆらり、と寝床から降りて剣を握った。
躊躇わずに剣の鞘をはらう。
そして、言った。
「なるほど、その通りだ」
そう言って江玉の首をすぱん、と斬ってしまった。
それを見て睡蓮が嬉しがって笑った。
「あははははは、あははははは。ああ、面白い。どうせなら、役立たずの親父も殺してしまえ!楽になるぞ、なあ、江滝、私がいればいいじゃないか!お前のその手で、殺してしまえ!」
江玉の血が噴き出て一面の壁が赤く染まる中、江滝は頷いた。
「なるほど、その通りだ」
そう言って廊下で腰を抜かしている江蝉の元へ進むと、助けを乞う父の話など何一つ聞かないで、これまたすぱん、と首を斬ってしまった。
「ああ……気持ちがさっぱりした。俺は……ずっと、こいつらをこうしたかったのだな」
そう言って、江滝がにこりと笑った。
「ああ、面白かった。最高に面白かったあ。あはははは、大好きよ旦那様」
満面の笑みを浮かべて睡蓮が江滝を褒める。それが、たまらなく嬉しくて江滝はぽろぽろ、ぽろぽろ、と泣いてしまった。なぜか、涙が出てきてしまった。睡蓮のそばでうずくまって泣いていると、睡蓮が優しく、その涙を舐めてくれる。それから嗚呼、興奮してきたと言って江滝の顔に乗ってきて、女には大きすぎる、まるで陰茎のような陰核を江滝の口に挿しこんだ。それなのに。なぜか江滝はそれに疑問をもたない。大きな陰核を、じゅぷじゅぷと舐めてやる。ぽろぽろと涙を流しながら奉仕する。
「ああ……これで二人きり……。もうすぐだぞ、江滝」
自分の顔の上に乗っている睡蓮が呟く。
なにが、とは聞かなかった。きっと、手足が生えることを喜んでいるのだ。
「死ぬまで、一緒。お前が、死ぬまで俺はお前の傍を離れないのさ」
あはははは。その笑い声は、なぜか。
自分が貶めた男の笑い声によく似ていた。
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