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4.高校生時代①~仲間内でのささやかな「創作発表会」~
読書や小説への苦手意識が抜けないまま、私は高校へ進学することになった。
高校は、何かと問題を抱えた小・中高生時代と比べて人生の中で一番穏やかに過ごすことのできた時間であった。
それは、知り合った友人たちのお陰なのかもしれない。
個々を尊重し、好きなものを言い合い、適度な距離感を保っている…今にして思えば、その関係に甘えてしまって色々ズケズケと言ってしまっていたなと後悔したこともあったのだが、今でも不定期ながら付き合ってくれるこの友人達には感謝しかない。
そんな友人達の間で高校時代ちょっとだけ流行したことがあった。
誰が言い出したかはもう思い出せないのだが、「自分の書いた(描いた)創作作品を持ち寄って見せ合おう」という企画が浮上したのだ。
当時無鉄砲だった私は羞恥心もなく「やる!」といって、書き溜めていた作品から「何を出そうか」と悩んでいたのを思い出す。
それから、みんながどんな作品を書いてくるのかなというワクワクした気持ちもあった。
そして、発表の日。
みんなそれぞれの紙やノートに絵を描いてきた。絵のうまい子は本当にうまくて惚れ惚れしたし、私と同じように詩や小説を書いてきた子もいた。
学生故それぞれ覚束ない表現等もあったのだが、それはそれで味があるし、楽しかった。
また、書いているのが普段目の前にいる友人達だったから私自身物語(小説)アレルギーも出ることなくさくさく読めてありがたかった。
友人たちの作品が読めて、感想を言えることがまず嬉しかったのだ。
因みに私はというと自分の書いたファンタジー小説の1話の切り抜きを持って行った。(さすがに全話は長すぎて読んでいて疲れてしまうだろうなと思ったので…)
どんな感想がもらえるんだろうと思って期待していたのだが、内容云々より真っ先に友人たちから言われたのが
「なとりうむ(本名)ちゃんの小説のキャラって、口に出そうとすると読みにくいねー」
だった。
(ええっ!?そこっすか!!)
と心の中でツッコミをついつい入れてしまったのを覚えている。
ただ、確かに友人たちの言っていることは正しかった。
当時の自分は結構「ありきたりなもの」「流行っているもの」に些細な反抗心を抱いており、流行りの服装等にかなりの拒絶反応を示していた。
あと、様々な創作作品に触れていく中で「このままだとパクリのように思われてしまうのではないか」という心配もあり、キャラクターの名前も図書館で埋もれているアジア系の民族楽器辞典から取ったりと内容以上にやたらそういった方面で腐心していた。
そんな読みにくい名前のオンパレードで、今でも覚えているキャラクターの名前がある。
「リテゥウス・サルピンクス」
うーん、今見ると確かになんて読むんだこれ?なんか、最後は私自身も読めなくて「リトゥース」って読んでいた気がする。
覚えている設定は義手の女傭兵でやたら強いという設定で、友人たちの中で一番反応(人気?)があったキャラクターだった。
主人公じゃないのに…(面倒見のいい姉御肌だったのも影響しているのかもしれない)
この創作発表会はその後受験期に入ることもあって、結局これ一度きりになって終わってしまった。
だが、自分の創作を「誰かに読んでもらえた」「率直な感想を貰った」という経験は今でも復帰した私の創作活動にプラスに働いているような気がする。
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