病はどこからやって来たのか?

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帰宅して、制服から家着のスウェットに着替える。 出来物が爆発的に増えていた。 こんな物を真美ちゃんに見せてしまったのかと、唯乃は後悔した。 出来る限り潰したが、途中から痛みで我慢仕切れずに辞めた。 1つ1つは極小さな出来物でも、それが何十いや、何百とあるとそれを全部潰すと痛みで発狂してしまうだろう。 ゴミ箱が血だらけのティッシュでいっぱいになった。 唯乃はそれを親にバレない様に、ビニール袋に移したが、途中ティッシュの合間からうねうね出て来る寄生虫を見て、おえっ!? と嘔吐(えず)いた。 これから、これが全身に広がっていくんだと思うと気が狂いそうだった。 触るのも嫌な気味の悪虫が体内に何百もいるんだ。……イヤもう何千、何万なのかも知らない。全身が痒くなる気がした。 その日は具合が悪いと夕飯も取らずに、ベッドに潜り込んだ。 ベッドの中で波久礼に何度も電話を掛けたが繋がらなかった。 同じアナウンスが流れる。 深夜になって、腕に違和感を感じた。 捲って見ると、もう腕にも出来物が出来始めていた。潰すと中から、うねうねと小さな虫が出て来た。 ——もうダメだと思った。 体が完全に壊れるの前に、心が壊れてしまう。 唯乃はスエットの上にコートを羽織り、こっそり外に出た。 自転車に乗り黒田川に向かっていた。 もう外は寒くなり始めている。夜中だし。これから水に入るのは、寒いだろうなと思ったが、首を吊ると遺体から寄生虫が発見されるかも知れないと思ったので、入水自殺して小山来呂のように腐乱してしまう事を願った。 そうなれば、多分大丈夫だろう。 家族の為に自殺を選んだが、今は自分の為にももう終わりたい。 気味の悪い虫に、身体中穴を開けられ死ぬなんて嫌だ。 いつもの登校ルートを、短い高校生活を振り返りながら最後に通った。 高校の側の黒田川の岸辺に着き、もう一度最後の望みを込めて、波久礼に電話した。 すると——、 「はい。もしもしどちら様ですか?」 と電話の向こうで声がした。 「波久礼さんですか!」 「はい?」 「実は——」 と今までの経緯を捲し立てるように説明した。 興奮する唯乃に銀太は冷静に応える。 「なるほど。ちなみに君、今黒田川? 川の側で電話してる?」 「はい! はい!! そうです! 何で分かるんですかっ!!? 予知能力的なのですかっ!」 と唯乃が驚き興奮して言った背後で、ジジィーとジッパーの開く音がした。
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