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翌日の昼過ぎ、兄が帰ると入れ違いに先輩がアパートに来た。
連絡もなしに先輩が来るのは珍しい。
様子もいつもと違う。
もしかしたら怒っているのかもしれない。
昨日はもともと、先輩が泊まりに来る予定だった。
『たのしそうなものを買ったから、早く一緒に使いたい。
バイトが終わったら、しょうこちゃんのところ行くから』
そうメッセージがきていた。
なのに、兄が泊まりに来たいと言い出した。
断りでもしたら、絶対に両親に怪しまれる。
きっと突然アパートに訪ねてきて、彼氏がいないか探りを入れられる。
もしかしたら、合鍵で勝手に部屋に入るかもしれない。
私の両親は、そういう両親だ。
プライバシーなんてものはない。
だから先輩には、土壇場になって断りの連絡をした。
「急で申し訳ないですが、キャンセルさせてください」と。
先輩からは『わかった』とだけ送られた。
あとで先輩には謝罪の電話をしようと思っていた。
だけど兄がなかなか帰らず、連絡出来ずにいた。
怒られても仕方がない。
「昨日は急に断ってしまい、申し訳ありませんでした」
急に兄が泊まりに来ることになったんです、と私が言うよりも先に、先輩は私をベッドに押し倒した。
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