1.なんでショタい面でこんなにグイグイ来るんだろう

2/15
前へ
/249ページ
次へ
ドアを開けると、そこにいたのは、僕と同世代か、少し歳上に見える、小柄で可愛らしい女の人が立っていた。 その女の人は僕の顔をマジマジと見つめたあと、ホッとしたかのように一息吐くと、一方的に喋り始めた。 「ああ良かった。隣が若い男の子で。 このマンションの隣の部屋、両方とも誰も居ないから、空き部屋かと思って困ってたんだ。 さっき早速誰か尋ねてきたと思ったら、下の部屋に住んでるって言うお爺さんだったし。 ねえねえ、キミにお願いがあるんだけど。 あのね。今日隣に引っ越ししてきたばかりなんだけどさ。 電気がつかなくて困ってんの。 明るいうちは良かったんだけどさ。 暗くなってきたらそういうわけにもいかないし。 引っ越し屋さんに聞こうと思ったけど、荷物も少ないから、すぐ帰っちゃったし…。 だから真っ暗な部屋で、隣の人が帰ってくるの、ずっと待ってたんだ。 キミの部屋の電気ついてるから、この階だけ停電してるとかってこともなさそうだし。 ねえ少年。ボクの部屋の、配線?ブレーカーっていうの?、ちょっと見てくれないかな?」 「あ、はい…」 「ああ、ごめん。まだ名乗ってなかったね。ボク、ユキっていうんだ」 「あ、はい…」 自分のことをボクと言い、ユキと名乗ったその女の人は、そう言った後、不思議そうに僕を見つめている。 「あの…何か?」 「ボクが名乗ったんだから、キミも名乗ろうか?」 「ああ、はい。加賀拓哉(かが たくや)です」 「へえ、高校生?」 「いや、大学…」 「ウソウソ。はいウソー。そんなウソはいいから…。 おっと、そんなことより。ちょっと少年!ブレーカー見てみてよ」 僕は半ば引き摺り出されるかの如く、真っ暗な隣の部屋に連行された。
/249ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加