待ってる

4/4
前へ
/4ページ
次へ
※ 「なんで?」 「じゃあ、僕で良いだろ」 その言葉を何度言いかけて、何度飲み込んだのだろう。それじゃあ駄目だ。 誰かの代替品のような言い方をして始まって、終わりを見据えたスタートなんて嫌だ。 そんな簡単に始めてはいけないんだ。 「誰かが好きって言ったものなら信用出来る」 この言葉を初めて聞いた時、後頭部を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。つまり、物凄く痛くて、滅茶苦茶に打ちのめされた。 僕には超えられないハードルだ。 好きな人に好かれる為に他人(誰か)と付き合うなんて出来ない。僕の心には、周防。お前一人しか入る場所がないのだから。 気付いてるよ、自分の気持ちが伝わってる事くらい。だから待っている。 その為なら苦手なコーヒーだって何杯だって飲み干してやる。 何人と付き合おうが気にならない。 口にはしていないけれど、そんなのただのママゴトだ。 誰の保証もない僕を相手に不安になって、悩んで。たくさん苦しんでよ。その何倍も、何十倍も、僕は君を満たしてあげるから。 ※ 「コーヒー追加する?」 「うん、頼むかな」 フィクションのように都合良く、視線はぴったり重ならない。 それでも二人の鼓動は、同じ早さで打っていた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加