仮面の下の真実

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仮面の下の真実

チュピチュピチュピ!!! うるっさ! 眠過ぎてまぶたが開かないが、激しい鳥の声で朝が来たことを知る。 あれから眠れなくて屋敷中を見て回っていたが、いつの間にか寝ていたようだ。 「あ痛たたた……」 美術品が置かれた部屋の、豪奢な、でも固いソファに横になってそのまま寝てしまったせいか体が痛い。 ん? ってか、めちゃくちゃ苦しい! 危険を察知し、重いまぶたをこじ開ける。 「!」 と、瞳の数センチ先に突きつけられた刃物と、私の腹に跨るタイラナの姿が目に映った! 「うわあああああああ!!!」 バチイィ!! 電流が走った感覚とともに、タイラナが弾き飛ばされた。 「痛ぁー!」 タイラナは、頭を擦りながら上体を起こし、キッと私を睨みつけ、食ってかかってきた。 「嘘つき!     魔法使えないって言ったじゃん!」 私は、眉間に皺を寄せる。 「はぁ?!    そもそもあんた、何しようとしてたのよ!」 タイラナは、ぷっくりと頬をふくらませた。 「ちょっと、片目を貰おうとしただけじゃん!」 「は?」 はぁあ? あまりに突拍子もないセリフで、理解が追いつかない。 タイラナは、腰に手を当てドヤ顔で言った。 「知らないだろうから教えてあげるけど、魔女の目玉を食べると、その魔女の力が手に入るんだよ」 全身に衝撃が走る。 こいつ! ヤバい! 目が合うとタイラナは、ニコと笑って手を差し出した。 「ねえ、目玉1個だけちょーだい」 つられて私もニコっと笑う。 「ああ、1個ね。1個なら良いよ……って、なるかー!!」 こんなもん、恥じらいも躊躇いもなく、ナチュラルにノリツッコミしてしまうわ。 「なんでさ?    俺がこうして頼んでるのに」 「2個しかないお握りをやるのとは訳が違うんやぞ!」 「お握りって、何?」 「くっ!    論点そこじゃない!」 そもそも。 「君、なんでそんなに魔法が欲しいのよ?」
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