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「裕太はママを取らないよ。裕太のママは、菜穂ちゃんのママでもあるんだから」
「わっ!」
ブランコから立ち上がって、ナホをだきかかえるゆーたお兄ちゃん。
背中をぽんぽんしてくれてぬくもりが気持ちいい。
ひさびさのだっこ。落ちないようにゆーたお兄ちゃんにくっつく。
「実は裕太も寂しいんだよ?」
「なんで……?」
「呼んでもママしか来ないから。菜穂姉ちゃんと一緒に居たいのに来てくれないから」
「そうなの?」
「姉ちゃんに会いたくて生まれたんだから。今度泣いたら来てくれよ」
「……うん」
「約束だよ」
ぎゅ、とだきしめた後、ナホを下ろしてくれた。ちょっと寂しい。
ゆーたお兄ちゃんはナホの頭をなでて笑った。
「もう、お家に帰りな。ママと裕太心配してる」
「……ママとゆーたにいっぱいヤなこと言った。怒ってない?」
「もちろん。許してくれるよ」
「じゃあ、帰る。ありがとう、ゆーたお兄ちゃん!」
ばいばい、といっぱい手を振って家にかえる。
ゆーたお兄ちゃんはその場でずっと手をふってくれていた。
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