わたしはおねえちゃん

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家に帰ったら、ママがぎゅっと力いっぱい抱きしめてくれた。 ごめんね、ごめんねって泣きながら言うから、つられて泣いた。 すると部屋のおくで、ゆーたのなき声がきこえた。 「ねえ、ゆーたどこ?ゆーた泣いてる」 「えっ、裕太にただいましてくれるの?」 「うん」 なきごえに呼ばれて、ベビーベッドにいるゆーたをのぞき込んだ。 まんまるおめめと目があう。泣き止み、にへ、と笑ってくれた。 手を伸ばしてナホを呼ぶ。その小さい小さい手にちょんと人差し指でふれる。 すると指をぎゅ、と握り返してくれた。「おかえり」とゆーたお兄ちゃんの声が聞こえた。 「ママ。今日、大きくなったゆーたに会った」 ふしぎそうな顔をするママ。 そうかもしれない。でもぜったいあれはゆーただ。 「うん。でも分かるんだ。わたしはおねえちゃんなんだから」
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