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~私の家族~
―青森県弘前市ー
ゆっくりと今日と言う日を、
林檎を特産品とした地域に、
鳥たちがさえずる夜明け前。
地元の高校に通う、
朱璃が目覚まし代わりにしている
スマホのアラームが【ピッピッピッピッ!!】と、
部屋に鳴り始める。
朱璃はスマホのアラーム音で目を覚まし、
体をグッと伸ばしながら起き上がった。
「う~ん!!」
目覚ました朱璃は乱れていたベットの布団などを直し、
空気を入れ替えするために部屋の窓を開けた。
「今日も晴れているなぁ~」
朱璃は制服に着替えた後にカバンを持て
二階の自分の部屋から一階にあるリビングまで来た。
リビングでは祖父:誠(81)が、
新聞を広げて読んでいた。
「あんまり、経緯がよくないなぁ。
わぁの葬式は、でっかく出来ないなぁ」
「お爺ちゃん、おはよう」
誠は新聞を読むのをやめ、顔を朱璃の向けた。
「朱璃、おはよう」
「にっちゃはもう(リンゴ)畑に行ったの?」
朱璃は自分の席の椅子に座った。
「あぁ。今日から摘花(てきか)の作業を、
始めているって言ってじゃ~」
「そうかぁ」
朱璃は兄が用意して行った、
朝食を食べ始めた。
朱璃は朝食を食べ終えると、
家の小屋にある自転車に乗り、
通う高校へと向かった。
朱璃が通う高校までは、車でも30分もかかる場所にある。
バスもあるが、次のバスが来るのに
1時間もかかってしまう。
だが、朱璃にとって自転車で通学する事は、
苦ではなかった。
その理由には、通学の最中に
大きく広がるリンゴ畑の景色を、
眺めることが出来るからであった。
早く高校を卒業して、
あたしを高校まで育てくれた
兄たちに恩返しをしたいと思っている。
だから、あたしは子供の頃から夢だった
絵描きになる事を・・・成長して行く中で、
“兄たちを助けたい”と想う事が大きくなり
絵を描くことさぇ、いつの間にか無くなって来た。
その頃、兄:正太郎は梯子にのぼって、
自分のリンゴ畑で摘花の作業を黙々とやっていた。
そこに、つなぎの作業着を着た男性が
リンゴの枝を避けながら正太郎に近づいてきた。
「よう、正太郎」
正太郎は声が聞こえたので作業を中断して、
男性の方を振り向いた。
「智也かぁ」
智也さんは兄と高校の同級生で、
高校卒業してから兄とは、
一緒にお酒を飲みに行くなどの交流がある。
智也は正太郎を見上げた。
「お前の所は、
(リンゴ)の出来はどうだ?」
正太郎は作業着の胸ポケットから、
煙草を取り出した。
「まぁ、まぁかなぁ?
あとは、収穫期までの天気次第だなぁ」
正太郎は煙草をくわえ、火を点けて吸う。
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