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「そう言えば、朱璃ちゃんから
高校卒業してからの進路は聞いたか?」
「いいや。まだ、何も聞いていないよ。
あいつが大学に行きたいなら、行かせるし。
就職活動したいならそうさせるつもりだ」
「そうかぁ・・・・因みに、結婚については?
朱璃ちゃんはなぁと違って、
美人さんだから。彼氏作って—・・・」
正太郎は智也の言葉に対して、
過保護スイッチが入り、
鬼の形相で智也をにらみつけた。
「智也・・・な、わさぁ殺されてんず?
朱璃は~まだ、高校生はんでぇ
彼氏は早えべさぁ」と、津軽弁で怒り始める正太郎。
正太郎の鬼の形相に、ビビる智也であった。
「正太郎・・・お前、普段は標準語なのに。
怒るとお前、相変わらず・・・津軽弁になるんだなぁ。
それにしても、朱璃に関しては鬼級の過保護だなぁ」
正太郎は深呼吸して、心を落ち着かせた。
「当たり前だろう、朱璃は俺の大事な妹だから。
俺の目が黒い内は、朱璃には恋愛させない!!」
「お前・・・兄って言うよりかは、
年頃の娘を持つ父親だなぁ・・・」
智也もタバコを取り出し、吸い始めた。
「朱璃の前に、お前が結婚しないとなぁ。
そうじゃないと、朱璃ちゃんも進路が決まらないだろう」
正太郎は動揺し、智也から顔をそらした。
「オレは・・・いいだよ。
うちみたいな農家に嫁ぐ相手なんっていないぜ。
お前みたく、若いうちに結婚して居ればなぁ。
まぁ、嫁の前でニャーニャーはやらないけどなぁ」
智也は正太郎の言葉は、
動揺した顔する。
「そそそれは・・・・!!それだけ、
わぁは嫁さぁに惚れているって証拠だ!!」
正太郎は呆れた顔する。
「はい、はい」
すると、正太郎のスマホが鳴る。
「じいちゃんからか?」
正太郎はスマホの画面を確認したが。
知らない番号だった、
「誰からだ?」
だが、正太郎は一応スマホの電話に出る。
若い女性の可愛いらしい声が聞こえた。
「もしも・・・・お久しぶりです」
正太郎は電話をかけて来た女性の声には、
聞き覚えがあった。
「・・・・あっ!お久しぶりです」
夕方、学校が終わった朱璃は、
進路の事で憂鬱になっている朱璃は、
通い慣れた道で自転車を押しながら歩いていた。
だけど・・・・!!高校生になって、
“実際に進路をどうするか?”と、
決めなきゃいけない時になってみて、
“絵描きになりたい”と思う気持ちが、
不思議と湧いて来た。
うつむいた朱璃の背後から、
男子の声が聞こえた。
「おーい!!朱璃~!!」
朱璃はその声に気付き、後ろを振り向いた。
後ろから朱璃に声をかけたのは、
近所に住んでいる幼馴染の隼人(ハヤト)だった。
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