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「うん、そうだねぇ」
隼人は出店で買った物を、
いろいろと取り出して喜んでいた。
「これって!!懐かしいよなぁ!!
ガキの頃にさぁ!!」
そんな隼人の姿を、朱璃は微笑みながら見つける。
そう言えば・・・・隼人って、
いつもあたしのそばに居てくれたよなぁ。
あたしの両親が、交通事故で死んだ時も・・・・
お兄ちゃんの次に、あたしを慰めてくれて。
その時、高校の同級生の男子たちが朱璃たちに声をかけた。
「おぉ~!!隼人と朱璃じゃん!!」
朱璃は男子たちの声で、ハッと我に返った。
「なに!?なに!?お前ら、デート!?」と、
男子の1人が朱璃たちを冷やかす。
同級生の冷やかしに対して、隼人は苦笑いする。
「違うよ~・・・・俺と、朱璃は幼馴染で・・・
こいつのために!!」
隼人の《幼馴染》って言葉に不思議と怒りに満ちた、
朱璃は急に立ち上がった。
「朱璃!?」
不思議そうな顔する同級生と、
困惑する隼人を置いて、
朱璃は何処かに行ってしまった。
「やっぱり・・・・隼人にとって、
あたしは《幼馴染》なんだ・・・・!!」
涙を流しながら朱璃は人混みをかき分けて歩いていたが、
誰かに腕を掴まれた。
隼人だと思い、朱璃は自分の腕を掴んだ主を見る。
だが、朱璃の腕を掴んだのは・・・・
見知らぬチャラそうな男性だった。
男性の後ろには、似たようなチャラそうな男性たちが居た。
「・・・・えっ?!」と、困惑する朱璃。
「ねぇ、ねぇ。君って、高校生?
何で、泣いているの?彼氏と喧嘩したの?」
チャラ男が掴んだ手を腕から放そうと、
何度も振り払うとした。
「・・・・放してください!!」
でもチャラ男が掴んだ手の力が強くって、
振り払う事が出来なかった。
「いいじゃん!!俺らが慰めてあげるよ。
身も心もさぁ!!」
チャラ男たちに怖くって、泣きながら目を閉じた。
「(誰か・・・・助けて!!)」
すると、聞き覚えがある男性の声で、
「てめぇら~!!なにしてんずやぁ!?」と、
人が蹴られた音も聞こえた。
朱璃が恐る恐る目を開けると、
目の前には怒りに満ちた正太郎が立っていた。
そして、朱璃の隣には優子が守る様に立って居た。
「お兄ちゃん・・・・!?優子さん!?」と、
混乱する朱璃。
「朱璃ちゃん、もう大丈夫よ」
「えっ?えっ?・・・・何で、二人が居るの!?」
「それは、後で説明する!!」
鬼の形相の正太郎はたちは、
蹴り飛ばしたチャラ男に近づいて服の襟を掴んだ。
「てめぇ・・・・|な、
よくもわぁの《お前、よくも俺の》妹を、泣かしてくれたなぁ。
殺させる・・・・覚悟は、出来てんず?」
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