6.仲間

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6.仲間

「そういえば、任務ってなんなんだ?」  俺は気になって言った。 「んーギルドから出される依頼に答えるみたいな感じ。今回は魔物の出現範囲の確認なんだぁ〜。」  アンリが答える。そしてローズウッドが続けた。 「この辺は元々魔族の領地だったものを勇者ヒナタが奪った物なんだ」 「前の転生者ってことか。そいつは今何をしてるんだ? 」 「死んでしまったよ。もうだいぶ昔、僕らが産まれる前にね」  そうか。前回の勇者って言っても百年前の事なんだ。何もヒントが無さそうなのが残念だ。 「まぁこの世界の事情はアリシアに聞いた方がいい。人見知りだけど教えるのは僕らより上手いからね」  そう言われるとアリシアは顔を真っ赤にして呟くようなボソボソとした声で言う。 「そう……教え……げるわ」  アンリがそれに大笑いして、また怒られる。  しばらく走り休憩している時にアリシアにこの世界について教えて貰った。何年も魔族と人族の間で戦争が起きている事。この辺は魔王族の幹部の領地だったが勇者ヒナタが奪い返し、ここを拠点に魔王攻略をしようとしていた事。この世界には魔法やレベル、スキルというものがあると言うこと。  他にも様々な事を聞かされたが、昔やったRPGゲームの世界の様だった。終始驚いていたが、あまりの現実世界との差に高揚が隠しきれなかった。 「スキルはどうやって見るんだ?」 「掌を上に向けてステータスと呟くだけで良いはずよ」 「ステータス」  途端にパソコンの画面のようなものが手から飛び出す。反対の手で画面を触ろうとしたが透けて貫通してしまう。ホログラムのようなものなのだろうか?不思議に思ってるとアリシアが驚いている。 「何をしたの、このレベル……32?私と殆ど変わらないじゃない」  聞けば生まれた時から経験値から加算されていき、10歳でレベル10、20歳でレベル30に到達すれば優秀らしい。そういう意味で最近この世界に来た俺にはありえないことらしい。 「少しショックを受けているわ。これが勇者としての特典なのかもね。あとこのスキルは……イアツカン……聞いたことも無いわね」 「威圧感か。どんな効果があるのかは分からないのか?」 「圧で相手の動きを止めたり、遅くしたり出来るんじゃない?」  どこで聞いていたのか分からないが背後からローズウッドが口を挟む。 「まぁ憶測だけどね、魔物が出てきたら分かるんじゃないか。」  俺はそうだなと答えて口を紡ぐ。ゴブリンや神父を倒したのは黙っておこう。なんの変化も無かったような気がしたが。  アンリが走ってこっちにやってくる。どうやらトロールの巣を見つけたらしい。 「仲間外れにしないでよ〜。何話してたの?私、働いて来たんですけど」 と頬を膨らませてアリシアに文句を言う。 「はいはい、ごめんなさいね。じゃあ行くわよ」  軽くあしらって騎馬する。 「アリちゃん、いつもツンツンで構ってくれないのどう思う?」  俺も適当にははっと笑ってローズウッドと共に騎馬する。 「――新人にまで馬鹿にされた。もう知らないから」  拗ねながらも渋々馬に乗って手網を握る。 「アリシアはきっと君の事が好きなんだと思うよ」  アンリの顔がパァと明るくなってこう言う。 「だよね!私もそう思ってた!ウッディはよく分かってるよ!」  そして四人はトロールの巣をめがけて歩を進める。
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