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【1話】死に方
さて、どうやって死のう。
会社を辞めた、彼女と別れた、両親、友人と縁を切った。
僕はこれから自由に死ぬ事ができる。
貯金もある、時間もある。
、、、、、、。
死ぬとはなんだ。
そうだ、包丁だ。
包丁で喉元を切ろうではないか。
Tシャツを脱ぎ台所へ向かう。
包丁を取り出し喉元へくっつけた。
さぁ、あとは思いきり引き裂くだけ、、、。
いや待てよ、死ぬところを見てみたい。
洗面所へ行き、鏡の前で同じことをした。
気力を失った眼がやる気のなさそうに首元に包丁を見つめる。
幼少期、一人っ子の僕はよく映画を見ていた。
ジェントリーな男が潜入し悪を倒す映画
筋骨隆々の男が銃をぶっ放し続ける映画
超人的な力で人々を救う映画
映画は素晴らしい、哲学、文学、生き様、リテラシー、歴史、宗教全て詰まっている。
映画という文化に触れ、映画から宗教、信念を学び他人とは変わった思考が生まれ、ある事に気づいた。
みんな生きることを前提に日々の時間を消耗している。
僕は違った。
僕は死ぬことを前提に日々を過ごしている。
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