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【5話】冷静
すぐに熱は覚めた、冷静になった。
言われた事は嬉しかった、だが自分で決めたことは実行する。
一瞬生きたいという迷いが出てしまった。
今は目標に向かって進むんだ。
次の目標は映画に登場するバーテンダー。
密かに憧れていた。
正確には大人が集まる社交場で働いてみたかった。
もはや進むことに躊躇はない、そして気がつけば僕はバーで働いていた。
繋ぎでしていたバイトもしつつバーでも働いている。
振り返れば今までこんなに働いた事なかったな、でも何故だろう全く疲労感もない。
とにかく夢中で何より楽しい。
この感覚、、ロスの時と同じだ。
自分、充実してんのか?
満たされている気分だ。これが生きてるって事なのか?
給料も以前働いている時と変わらない、、。
なのにこの充足感。
高揚していた、気分がよかったんだ。
「店長、今日飯でもどうですか?」
繋ぎバイトの店長は女性だ。
僕と年齢が10以上離れている女性。
働き始めてから心に余裕が生まれて気づいた。
ー店長綺麗な人だなー
「店長ってバツイチなんだぜ」
バツイチ?結婚してたんだ、、。
「店長って色っぽいよな」
確かに、今まで気がつかなったけど魅力を感じる。
「店長!なんか男の人来てますよ!」
店長の彼氏、、?
そうだよな、綺麗な人だし内面も素敵な人だしそりゃ彼氏くらいるよな、、。
バイトの上がる時間が被っていた。
「お疲れ小川君。」
「お疲れ様です、店長上がりですか?」
「うん、上がり。時間被るの初めてじゃない?」
「あ、そうですね。」
「何?嫌だった?笑」
「そんな事ないです!嬉しいです!」
「ほんとにー?笑」
「自分嘘ついた事ないです。」
「それが嘘じゃん笑」
2人で笑った。
一緒に話した。
楽しかった。
これはデートの誘いじゃない、相手は年上だ。
仕事の関係。彼氏もいるんだ。
でも口にしていた。
「店長、今日飯でもどうですか?」
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