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音楽文化研究会・部誌
２０××年５月１０日
はじめまして。１年生の三善紗英（みよし さえ）です。前の書き込みを見ると三年前の日付なので、今はこの部誌は使われていないんですね。誰も見ないとわかっていても、こういうのってついつい何か書きたくなってしまいます。お披露目ライブの曲も決まっていよいよ練習開始です。ドキドキです。
三善紗英
５月３０日
あっという間に1年生お披露目ライブの本番です。その前に授業にでなくちゃいけないので楽器を置きに来ました。誰もいない時を見計らってこのノートを書くの、クセにってしまいそう。
６月２日
他のバンドの演奏を聴いて、やっぱりこの曲もやってみたかったな、なんて少し思ったり。もちろん、楽しく演奏できたので満足してますが・・・色々と夢が膨らんで頭がいっぱいです！
部室の書庫に埋もれていた部誌を見つけたのは、ほんの偶然だった。楽譜やら、先輩が残したのであろう試験対策のノートやらが押し込まれた棚の中にそれはあった。「音楽文化研究会・部誌」と乱暴に題名が書かれているだけの、少し色褪せたノートである。紗英は本棚を見るとついそこに並んでいるものをチェックしたくなってしまうものだから、部活が始まるまでの持て余した時間にあれこれと見て回っていたのだった。
それに書き込みをしようと思ったのも、文房具屋でペンの書き心地を試すような、そのくらいの軽い気持ちであった。それがなんとなく楽しくなって個人的な落書き程度にちょこちょこ書いていたものがまさか、誰かに読まれていようとは。ましてや返事がくるとは思ってもみなかった。
６月８日
演奏良かったです。電子楽器であっても、自分の音が鳴らせている感じ。
６月１２日
え！ありがとうございます・・・。褒めていただいたことと、ここに書き込みがあったこと、ダブルで驚いています。それと、私も匿名にすればよかったなと思ってきました。今更恥ずかしくなっています。
シンプルなほめ言葉は、素直に嬉しかった。匿名であっても部内の誰かと思えば特段気にはならなかった。細身で整った字を見ると女性だろうか。文章からも落ち着いた感じがするから上級生なのだろう。自分の丸文字と並んでいるとまだまだ高校生気分が抜けていないことが明らかで、恥ずかしくなってきた。
６月１９日
本来このノートは部誌として使われていたみたいだし、書き込みがあるのは驚くことじゃないと思います。それに、演奏もいいと思った人がここにいるのだから褒められて当然です。
６月２５日
なんだか文章で嬉しいことをいってもらえると、より一層照れちゃうものですね。新発見。でも、浮かれてばかりではいられなくて、もう少しで期末テストですね。空きコマはあっても、１～５限の時間学校にいなければいけないことがほとんどで、１年のうちからバイトまでしている子を見るとすごいと思います。みんなはレポートとか進んでいるのかな・・・
７月２０日
睡眠不足の日々を乗り越え、ついにやってきました！夏休み！ 紗英
７月３０日
夏休み、おめでとう。バンザイ\(^o^)/
８月３日
素朴な疑問。やっぱり、大学生って夏はフェスに行ったりするものでしょうか。 紗英
８月６日
一般の大学生事情はわかりませんが、俺はGWに既に行っています。
８月１０日
え！いいですね！残念ながら私は、（ご存じの通り）バイトを探さないといけない身分なので今年はお預けです。
俺、という一人称を見たときには正直驚いた。字がきれいだということもだが、男の人がここまでマメに返事を書いてくれていることに対して感心してしまった。こんな取り留めのない会話に付き合ってくれるバンドマンがいるとは、といささか偏見に満ちた感想を抱いていた。さりげなく、最後に名前を書く流れを作ろうとしていたものの匿名君の方ではあくまでも正体を明かす気はないらしい。
８月１０日
合宿の荷造りをしていたら、ボストンバックのファスナーが壊れました。仕方なく買い直すことになり、痛い出費である。
８月１１日
キーボードは重たいので、前日のうちに楽器を置きに来ました。確かに私もなんだかんだと荷物が多くなってしまったけれど、何を詰め込んだらファスナーが壊れてしまうのか気になりました。
紗英
８月１２日
寝坊してはいけないと念じ続けた結果、部室に一番乗りです。新しい鞄には５泊分の非常食がきちんと収まりきりました。今度のファスナーは丈夫そう。
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10月3日
合宿お疲れさまでした。まさか、食べ物だったとは。男性陣がよくポットをもってうろうろしていたのは、お夜食の準備をしているところだったのですね。紗英
10月7日
女性陣は夜にアイスの自販機の周りに集まっていたのを俺たちは見ていました。
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