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部屋の中は静まり返っていた。
ベッドの中には同じ大学のゼミに所属する友人、桂田遼太郎が横たわっている。
「リョウタ、大丈夫か?」
「何とかな……」
ベッドのそばに座る俺の問いかけに、彼は少しこもった声でそう返事を寄越した。
頑張ってはいるが、長くはもつまい。
「まだかな……」
呟いたのは、この室内で紅一点の大沼一葉だ。彼女はベッドの足元側に座っている。
彼女もまた同じゼミ生で、皆からはオオバさんと呼ばれている。
俺は心の中で秘かにシソ姐と呼んでいる。
シソ姐の小さなため息がふと聞こえた。窓を背にしているシソ姐はの方を見てみる。表情はよく分からなかったが、恐らく待ち疲れのような事になっているのかもしれない。
窓のからは空に浮かぶ白い満月が良く見えた。
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