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変な夢を見た。
今日のレスキューと同じように、崖の下に落ちた車に健太がいた。
18の健太なんか見たことあるわけないのに、運転手が18くらいの健太だと思った。
16年前、十歳だった健太の顔さえぼんやりしか思い出せないのに、一瞬で健太だと分かった。
運転席からしかアクセス出来ずに、健太の座る運転手側のドアを開けたら、何故か助手席に今の柚がいて、息をしてるかも分からないほどぐったりしてた。
脚が震えて、声が出ない。
俺が必死に柚に手を伸ばすのに、「もう死んでるよ、俺を出してよ」って健太が言った。
柚は、生きてるかもしれないし、死んでるかもしれない。
駄目だ。
死んだら、駄目だ。
柚、柚!!
名前を呼ぼうとするのに、喉が詰まって、まるで声が出ない。
柚!
汗だくになって、そこで起きた。
嫌な夢。
意味なんかない。
分かっているけど、むちゃくちゃ寝覚めが悪い。
携帯を見ると、柚が心配して、昨日の夜からいくつかメッセージが入っていた。
『お仕事、お疲れ。拓くんと花火見て、今、帰ってきたよ。お祭り、誘ってくれてありがとね』
『おはよう。もう帰ってきたかな? お疲れ。大丈夫だった?』
『龍、大丈夫?』
柚に会いたかった。
それと同時に、会いたくもなかった。
頭ん中がやばい。
柚を見たら急に泣くとか、めちゃくちゃに抱くとか、変な事をやらかしそうだった。
死が近すぎた。
変な夢まで見ちゃって、柚に触りたい。
温かさを感じて、生きてると感じたい。
こんな仕事してるのに、弱いよ。
これっくらいの事故処理で、情けねえ。
ベットの中で、携帯の文字をしばらくぼんやり眺めてた。
心配はさせたくなくて、結局『大丈夫。夜遅くって、今、起きた』とだけ返信した。
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