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龍は、私を裸にして、身体中を確かめるように、指を這わして、口をつけた。
私が乱れて、体温を上げて、息を上げて、龍の名前を呼ぶのを聞いて、泣きそうな顔をしていた。
激しく私を抱いて、最後までぎゅっと私を抱きしめていた。
少しして、落ち着いてベットに並んで横になると、そんなに立派でもない私の胸に頭を寄せた。
重くなりすぎないようにしながらも、心臓の音を聞くように、私の胸に耳を当てている彼の髪をそっと撫でた。
「今朝、嫌な夢見た」
ぼそっと龍がその体勢のままでつぶやくいた。
「そう」
それは、そうだろう。
きっと、私が想像できないような現場に立っていた直後だ。
「おっぱいって、あったかいし、柔らかいよな」
龍之介が、ふわっと胸に手を寄せて、馬鹿みたいに言った。
「うん。温かいのは、温かいよ。私は、いまいち、大きくないけど」
大きくもないし、傷もあるけど、私の胸は生きているから、温かい。
「はは。いい。柚のはこのサイズ感でちょうどいい」
そうふざけて笑ってから、そっと「……いきなりで、ビビったよな。ごめん」と呟いた。
いきなりだったけど、無理やりでも、力づくでもなかった。
私と龍が生きているのを確かめるようなことだった。
「うんん。気持ちよかった」
そういう事だった。
生きてるよっていうような。
本能的だったようで、どこか悲しかった。
「はは。よかった」
抱き合って、そのまま、気が付くと、しばらく夕方までうたた寝をしていた。
先に起きていた龍に髪を撫でられているのに気がついて、起きた。
むぎゅっと龍之介を抱きしめてから、起き上がる。
「龍、ご飯、つくろっか?」
私には、ご飯を食べたら、元気になるんじゃないかと言う単純な発想しかない。
「んー。腹減ったわ。何すんの?」
そう言って、龍之介が少し笑った。
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