傷を舐める

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「抱っこしなくても」 「トレーニング」 あははと笑っているけど、この人、トレーニングというよりは、巨人が人を捕まえた感じで、急に襲ってくる。 足でドアを開けて、バスルームに下された。 「はい。入ろ。自分で脱がないと、俺が脱がすぞ」 龍に脱がされるのも、微妙。 お風呂に入るって言ってるだけなのに、なんか、勘違いしそうだ。 「自分で脱げる」 ……けどさ。 「龍さ、ちょっと、あっち向いててよ。お風呂に入っちゃうまで」 「あ? なんで?」 龍之介はもうTシャツを脱いじゃっている。 「なんか、さぁ。明るいし、はずいんですけど」 「今更?」 「今更ですけど!」 クルっと龍之介を反転させて、「脱げないなら、俺が脱がすって言ってるのに」と文句を言う龍之介を無視して、さっと服を脱ぐと、「ちょっと待ってて」と、龍之介を置いて、先に浴室へ入った。 ささっと泡だらけにして、身体を洗って、浴槽に入ってから龍を呼ぶ。 ちらっと入浴剤の入ったお湯に沈み込んだ私をみて、「隠したって、もう、さっき、全部見たからな」と意地悪を言って笑った。 ああ。 いつもの龍之介だ。
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