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二学期が始まると、すぐに夏休みの水泳練習の成果をみせる、水泳大会があった。
スイミングに通っている子はもちろん、三年生ともなると、みんな結構泳げるようになってきている。スタンプカードを真っ赤にしてきた子は、夏休みの間にやっぱりちゃんと上達していた。
「お疲れ様でした」
フロートを集めて、プール脇の倉庫に片付けながら、ホースで水を撒いて片付けている教頭先生に挨拶した。
「はい。お疲れ様」
更衣室でラッシュガードを脱いで、着替えて、プールサイドを離れようとして、端にまだ一つ、フロートが飛び込み台の側に見えて、取りにいった。
暑い午後の日差しで、プールの水面がきらめく。
夏が終わっていく。
更衣室から教室へ移動し始める子供の声を聴きながら、自分の子供のころを思った。
運動神経なんか良くもないけど、私は泳ぐのは、平均的だった。
スイミングに行っていた子は、すごく速い子いたなぁ。
なにちゃんだっけ?
思い出せない。
速く泳げる子は、水泳大会ではスターだったな。
龍之介は水泳が上手い。
真面目に体育なんかやってなかったのに、高校までライフセーバーの資格を取ったり、スイミングをやっていて学外で泳いでいたから、びっくりするくらいきれいに泳いだ。
付き合ってしばらくするまで、このことは聞かなかった。
ただ、スポーツはできるのに、サッカー部にちゃんと出て無くって、部活に興味がないんだと思ってた。だけど、龍は放課後、学校に来ない拓君と遊んだりしながら、スイミングに行ったり、講習代のために短期バイトしたり、自分の目標をひっそり持って生きてた。それを口に出すのを極端に避けていたけど。
拓君は、逆に、泳げない。
友だちがおぼれてから、泳げなくなったらしい。
そのせいで、高校時代、体育教師ともめてから、不登校になっていた。
忘れられていたフロートを拾い上げて、熱いプールサイドを歩きながら、二人のことをちょっと思った。
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