傷を舐める

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やっぱり学校が始まって、平日に会えなくなると、週末に上手く龍之介のお休みが重なる日しか会えなくなった。 忙しいから、それに紛らされているのだけど、なかなか寂しい。 それでも、龍は休憩中なら、メッセージに返信をくれるし、非番や休日で私が仕事の日は、夜に電話するのが習慣になりつつある。 「柚。お疲れ」 「うん。龍もお疲れ」 くすっと電話の向こうで笑うのが好きだ。 「俺は、今日、休み」 「うん。何してた?」 「んー、洗濯と買い物」 「あっそう」 寝る前に、お茶を飲みながら、少しだけ。 いつまでも声を聞いていたいと思うけど、さすがに、他にやることもある。 「柚、明日も仕事だろ」 「うん。龍。またね」 「ん。あ、週末、金曜、非番で、土曜日、週休。会える?」 「うん。会いたい」 いつでも会いたい。 「はは。じゃ、金曜日から来てよ」 「うん」 お泊り。 浮かれる。
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