傷を舐める

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龍と階段を上がって、部屋に入ると、勧められるままにソファーに座った。 「柚。どうした?」 「え?どうもしない」 ぐっと向き合うように、斜めに座った龍に捕まる。 大きな足の間に私の足が挟まれて、逃げられない。 「車で待ってることないじゃん。車で、なんか、考え込んでたし。俺、どれくらいかかるかもわかんないのに」 「あぁ。でも、龍、もうすぐ終わるってかんじだった」 「もっと俺が遅かったら、ずっと車にいたの?夜のコンビニの前で?」 じっと目を見られて、誤魔化せなくなる。 「うんん、そろそろ、どうしようかなって思ってた」 「なんで? 鍵、あったじゃん? あ、ほら、これ、持っとけ」 テーブルに腕を伸ばすと、さっき郵便入れから取り出したスペアキーを渡してきた。 あ。 合い鍵。 ……困る。 「いいよ、龍がいる時しか、来ないし」 なんか、焦ってきた。 普通、彼女なら喜んで飛び上がるべきところ、渋い私の返事に、眉をひそめている。 「もっとけばいい。今日みたいな日があるかもじゃん」 どうしよう。 心臓が、妙にドキドキしてきた。 駄目だ。 怖い。
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