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順番に学年ごと、体験に移動する。
まず、一年生が校庭の南側に駐車された消防車に集まり、私の担当する二年生は、反対の北側に停められた地震体験車に移動した。
「これは、地震の揺れを実際に体験できる車です」
担当の職員さんが説明してくれるのを、二年生はしっかり聞いている。
全員を乗せるわけにいかないので、低学年は教員がデモンストレーションをする。
「じゃ、水城先生と、小島先生でいいかな?」
やっぱり下っ端だよな、こういう時は。
来ると思っていた。
ヘルメットを着けて、部屋のような車に乗り込む。
「じゃ、いきますよ。震度3です」
三でも結構揺れた。
見学している子供たちがキャーキャー言う。
「今日は、震度5の避難でした。震度5では、物が落ちたりします。先生、気をつけてくださいよ」
言われなくても、もうわかっている。
機械が揺れだすと同時に、ぎゃっと情けない声を出して、床にしゃがんだ。
小島先生とダイニングテーブルの下に隠れるのが精いっぱいだ。
「怖いっすね」
揺れが終わりかけて、小島先生が言った。
「まじで、嫌です」
なんとか立ち上がって、子供たちに向けて声を上げる。
「こわかったよー。ゆれたねー」
すごい、とか、やりたい、とか少しだけにぎやかになる。
体験車の場所を四年生に譲って、少しずれると、消防士さんが二年生に地震の説明をした。
「さっき見たくらいお家がゆれたら、お家の中で、落ちてきそうなものはないかな?
…… じゃあ、なにか、質問、ありますか?」
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