01:お試しプレイ

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01:お試しプレイ

『友だちの家に行った時用のお菓子(かし)』から、何となくクッキーを引っぱり出して持っていき、私は友だちの家のインターホンを()した。  (むか)えられてリビングに入ったとたん、私の目にはテレビに映るあの文字が飛びこんできた。 『オルビス・ナイト』  直線の流動的なフォルムの建物が立ち並び、それを(ふち)取るような青い光。建物はコンクリートのようなものでできているが、赤や黄の電飾(でんしょく)で冷たさの中に温かさも感じる。  空を飛ぶ車のような乗り物が画面を横切り、この世界観に唯一(ゆいいつ)合わないのは、歩いている『人間』たちだろう。  近未来風なボディスーツをきた人もいれば、現代人が着ているような服の人もいれば、和服のようなものを着た人もいれば、ドレスやスーツの人もいる。  顔も身長も体型も髪型(かみがた)(はだ)の色も、みんなバラバラである。 「わっ、この人のスキンいいな〜! めっちゃかわいい!」  友だちがテレビの画面に近づいて、水色のドレスのようなワンピースの人を指さす。 「もしかして、そこにいる人たちって他のプレイヤー?」 「そうだよ、たぶん私のもどっかにいると思う」  そうなんだ! みんな実在している人なんだね! 「じゃあまずチュートリアルから……」  そう言って、友だちの慣れた手つきでスタート画面の『チュートリアル』が選択(せんたく)された。  まずは基本的な移動のしかた、STAGE 1から。
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