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コートとさよならをして、ようやく自分の家に戻ってこられた。どうやらまだお母さんは帰ってきていないらしい。
「あーマジで疲れた」
真っ先にソファーに寝転がる志音。
「でも、これで一件落着?」
「いやぁ、まだああいうのがたっくさんおるってことやろな」
律歌の言うとおりだ。『オルビス・ナイト』のレビューには、私たちが遭遇しなかった事件もある。
「だけど、コートは『今までは存在を消すっていう方法しかなかったけれど、アバターの生活を守ったまま事件を解決することができただけでも大きい』って言ってたよね」
一語一句間違えずにコートのセリフを再現する琴音。
「……まだまだ、僕が知ってる中でも迷惑プレイヤーは結構いるからね」
「やっぱりキリがねぇじゃん」
やってらんねぇと言って、志音は目を閉じてしまった。その姿を見た琴音は苦笑いをする。
「色んな人がいるし、プレイヤーにはプレイヤー、アバターにはアバターの生活もあるし、一回で全部解決するのは無理だよね」
「ホントだよ。迷惑プレイヤーはさっさと運営がBANしてくれればいいって思ってたけど、まさかアバターっていうものがいるなんてよ。コートが悩んでる気持ちが分からなくもないな」
私は目の前にある、チョコチップクッキーをかじった。ほんのりとした甘さが口の中に広がった。
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