きっと ね 🔔!りんぐ・あ・べる

1/2
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
『 もぉ~すぐ ❣  オ・ボ・ン・ヤ・ス・ミ・だ … 』 5才の鈴は、 このワードを知っている。 嬉しそうに、鏡の前で、そう呟くと、 両眼を      キラキラさせながら、懸命に髪にブラシ を入れる … いまは夏、だから、暑くて、 そんな事をしていても、                汗で、   手はベタベタになってくるのに、   それでも、髪を整え「 その日 」に             備えている。               だって、 「 もうすぐだもん ❣ 」 そう … 幼稚園児でも、女の子は、   大人のマネができる。 そんな鈴は … ハハの、いい匂いがするヘアムースを 小さな手のひらに向け、卓球ボール ?  よりも大きな、泡の玉をつくり出し、 それをニヤニヤしながら 目の高さで確かめて もう一度! 両手で、ムニュムニュさせると、   そっと!頭のてっぺんにのせて、 その姿を、鏡で、確認し、 「 ムフフ … 」と、満足そうに、       ジッ ! と、している … 手も頭も、動かないでそのまま …    だから、ちょっと、違うけど …     …カワイイ!…    『 これ …      いつ ? とけるの ? … 』 でも! ニコニコの!       鏡の中の鈴が首を傾げると、         鈴は、あわてて、 ペタペタッ ! パタパタッ ! っと、     卓球のラケットのような、     パーにした両手を交互に、      動かして、ムースの     泡を髪の毛の中へ隠した。   「 ぅわ !     ツヤツヤぁ~ ❣     ハハみたい …     エヘッ !     いいにおいもぉ        するぅ~ ! 」 やっと分った?        もう! 鈴は、この日から、        毎日、練習していた。 鈴のチチは … 長男さんで、この家の中の、 ただ 1人の、男のヒトで、 鈴は、 チチのマムのグランマとも一緒、 に、暮らしていて、 いまみたいな … お盆休みや、お正月には、その、グラン マに逢いに来るのか、鈴と遊ぶために来 るのか、この家に、アロ君が、お泊りに … 来る。     2才上のアロ君は、鈴の従兄。 で、鈴の大好きな兄ちゃんで、 ボーイフレンドで、先生 ? で、 強い!味方で、王子様 ! で … で、で、で !        『 ふしぎなコ 』… そのアロ君が、年に、2度、 お家にお泊りに来てくれるのを、 鈴は、なによりも !         その時 ! だけ、は、 そう、だから、大好きな ! ど~ん ! と、おっきな ! プルプルプリンパフェ ! よりも !        楽しみにしている ❣. きっと、これは、鈴の初恋 …        だから、鈴は … 大好きなアロ君の前では、 可愛くできるように、 その大好きな、プリンパフェ ❣ を、頬張れなくても、 鏡の中の鈴の髪がツヤツヤ で、キレイに、 ツインテール を、     ! デキるの かが ! こんな乙女 な 鈴 には いま めちゃ ❣ 重 要、で、 上手にできた時は、 ウルウル目になるくらい、嬉しい …          それに、アロ君がお泊りの時には、 鈴のハハは、家じゅうを キレイにし、 グランマは、アロ君がきっと喜びそうな、 オモチャや、オカシ、を、たくさん用意 するし、 チチも、ブラザーの、アロ君のダァッド とマミーに逢えるのを楽しみに、 いつもより早くお家に帰ってくるし …           だから!鈴のお家も、 大変身してて、それだけでも、 気分は ウキウキ ! ワクワク ‼ ドキドキ ❣ だもの …      … だからすぺしゃるなの! …ピン! 「 あと … みっか … 」       鈴は、 グーにした        左手を、        小指から、ピキッ!と、        なんども、なんども、        1・2・3、と、          1本ずつ立てて数え、                   ニコニコしていた。 でも、3日はちょっぴり ? まだ … 先だけど… [ アロ君は不思議なコ … ] 『 こんにちはー ! 』        やっと来た ❣ 3っ日後、 アロ君は、 鈴の家へ勢いよく飛び込んできた ! アロ君はいま小学1年生 ! 幼稚園児の鈴よりも、また、       お兄さんになっていた。 アロ君は、 それが判りやすく、両手には、 オモチャではなく 『 植物図鑑 』と、 『 植物辞典 』 を、持っていた。 もう! その姿が! 鈴には、 また! 眩し い !   「 … アロ君 ⁉        スゴぉーイ ! 」 そう言いながらも鈴は、 はにかみ、さささ … っと、 ハハの後ろに隠れて、            こっそり、 アロ君に見つからない          様にって…                アロ君をお出迎えした … だから? そんな鈴の声が聴こえなかったのか、 「 タタタタタっ ! 」 アロ君は、自分の荷物をドサッ ! と、 リビングのソファに置くと、図鑑を右手 に、玄関へ戻り、 左手で、自分のスニーカーをつかむと、 タタタタ ! パン ! パン ! と、リビング窓の外、の、テラスへ !               スニーカーを放り出し、 『 ズゥボッ ! ガッガッ ! 』  『 ズゥボッ ! ガッガッ ! 』 っと、 なぜか … そんなに?慌てながら履くと、 ダダダダ ! と、外へ駆け出し、 ピタッ ! と、止まり、     キョロキョロ ! っと、          庭を見渡すと、 クルッ ! っと ? そのまま、家の、 壁伝いに裏庭へ廻り、      外壁寄りの、下屋庇下、       に、日陰を見つけると、       パタッ ! と、そこへ           しゃがみこんだ。 で …、 手にしていた図鑑を開き … パサッ! っと、 膝の上にのせ、その前まで顎を出し、 地面をジッ ! と、視る。               鈴は、 アロ君がそんなバタバタを始めると、          ビックリして … こっそり… 窓からそんな外を見てて… それでも、すぐ!側で!じっと!           見ていたから、 鈴もそのアロ君のマネをして、  近くにあった、絵本をすばやく! 一冊抱えると、 アロ君の後につづいて裏庭に来た。          「 アロ君 ?」 鈴は、しゃがみこんだアロ君の背中に             訊いてみた。 アロ君は、それには応えずに、   まだ図鑑を覗き込んでいて … 「 雨の、においだね、これ …   ヤマジノホトトギス だ … 」 そんな夏は、 ここのお庭では、 咲いているお花はそんなには? みつけられなかったのか、 だから … ワザワザ、       裏庭に廻ったアロ君は、 鈴がただ … 「 小さなお花 」だと、思っていた、 草花の名を得意げに?呟いた。    「 アメのにおい ? の?       ほと・と・ぎ・す? 」 「 うん … 」    鈴は、この日のお天気は晴れで、     雨は降っていないから、     それは甘ぁ~い「 アメ 」       だと思いキョトンとなる。 アロ君は、 まだ、顔を伏せて図鑑を視ている。 「 トリの、  『 ホトトギス 』に   にてるからなんだって … 」            「 へぇ … 」 「 だね … これ、   お花、いろいろ、       なんだ … 」            「 うん … 」              鈴は、 胸に抱えていた絵本を、アロ君のマネ         をして開いてみる … その鈴の様子に気づいたアロ君は、 首を傾げて?不思議がり、 「 鈴 ? ここで、   えほん、みるの ? 」            「 うん … 」 鈴は、  照れながら肯いた。 でも! 本当は、絵本を、      見たいんじゃなくて … アロ君が大好きだから        真似をしたくて … でも … それはアロ君は解らないから … 首を傾げたアロ君は、 鈴と一緒にその絵本をミテ、 「 それ …  『 はいかぶりひめ 』         だね … 」            「 うん … 」 「 … 鈴 ? でも、このくに   には、おひめさまも、   おうじさま、も、       いないんだよ … 」 アロ君はまた、先生になって、 鈴に教えてくれる。       鈴はまた、キョトンと、             首を傾げる、       「 このクニ ?          いないの ? 」 「 うん … このくにには、   どこにも、そのえミタイナ   オシロ、ないだろ、   それは、とおくの、くにの         ムカシバナシ 」          「 う?ん … 」 鈴の眼は斜め右上になって … ちょっと、あの、  テーマパークが頭の中に浮かんで …     「 じゃぁ …       この、えほんは … 」 鈴は、 アロ君が大好きだし、 栗色の髪のアロ君は、 絵本の王子様とも似ていて…    おっきくなったら?  アロ君は、王子様になると、          思っていたから …    絵本を閉じて、困った顔になる。    『 鈴は、   おひめさまに    なりたいの ? 』           「 うん … 」 おっきくなったら王子様になると、 思っていたアロ君に訊かれたから、 鈴は頷いた。 『 どうして ? 』            「 … … 」 でも、 アロ君がおっきくなっても? 王子様にならないのなら? それじゃぁ … もう、 鈴の本当の気持ちじゃないから、         鈴には、分からない。 「 鈴 ? あのね …   しらないヒトに、   おひめさまに   シテアゲルって   いわれても、   おひめさまには、   なれないから …   くっついて   いっちゃダメだよ ! 」           「 うん … 」 「 それにね、   そのオハナシ   みたいに、もしも、   鈴が、だれかに、   イジワルされたら … 」            「 … … 」 鈴は、 哀しそうな顔をする。 アロ君は鈴の絵本のページをパラパラと スバヤク、めくり、最後のページを開く と、その挿絵を、 ジッと覗き込みながら、 「 … たすけてあげる ! 」           「 うん ❣ 」          鈴は、嬉しかった。      絵本を胸に抱いて、      おっきな キラキラ眼で       アロ君を ジッ ! と視る。        「 ねぇ ...   この、ヤマジノ   ホトトギス はね … 」          アロ君は、まだ鈴には触らせない、 大事な図鑑を、見せながら、 先生みたいに、 この裏庭の日陰で可愛らしく小花を 咲かせている野草の説明を始めた。 …トコトコトコ …ととととと …すとん! …すとん! …かちゃ! …ことっ …ことっ 「 そうなの …   アロ君、いまは、   植物に興味があるのね ?   裏庭の、ホトトギスね …   そう、あれは、自然に   生えたんだけど、   そのままにしている の …   お花も、可愛らしい   でしょ ? グランマは、   赤紫模様のお花しか、   見たことないけれど、   ほかのお色のお花も ?       あるんでしょ ? 」 「 うん、そうだよ !   ねぇ!グランマ!   ココ、みて !    ね!でてるから … 」   「 ほんとう !      写真があったわね … 」                「 … うん!」 リビングで、 アロ君と鈴が戻ってくるのを、 ソワソワしながら待ち続け、 その姿が見えると、急いで、用意して いた冷たいジュースをテーブルに出し、 パタパタと 手招きをし、 グランマは、孫が傍に来てくれたのが 嬉しそうに、その話に耳を傾け、 一緒に、アロ君の植物図鑑を覗き込む。               …すとん! そこへ、鈴もちょこん、と、加わり、 ソファで固まった3人は図鑑の中へ … [ アロ君は不思議なコ … ] そんなアロ君は … この家で一緒に暮らしていないのに、 この家に、スグに、溶け込む。 それは、 鈴の従兄だからグランマにして みたら同じ孫だし、          だからなのか、 この家も、 自分の家と同じ様に、 子供部屋の、鈴の部屋には、 アロ君の物も、いろいろ、    置いてあるくらいで、 鈴の部屋には、本棚もあるから、 だから! その中に、今回は、 この図鑑と辞典も加わることになる。 「 そう … あの、   ホトトギスはね、   春の若い葉を、   天ぷらにしても   食べられるの … 」 「 へぇー、   そこまでは、ズカンに   でてないね …   えっと …   ヤマジノホトトギス、   だから … ジテンになら         あるかな … 」 「 そうね … 」          「…うん」 アロ君は、植物辞典を急いで開き、 夢中になっている … グランマは「 食べられる野草 」に は、詳しそうで、 可愛い、孫と、共通の話題が見つけ られて、嬉しそうだ。            鈴も肯く。 「 今度、   お泊りに来るのは、   冬だし …   来年かな ? 春に、   来られればね …   食べられる時期だと       いいわね … 」 「 うん ! 」 「 うん … 」 鈴も可愛らしく返事をした。 鈴だけじゃなく、グランマも、 次回、だけじゃなく、いつ、も、 アロ君の再来を楽しみにしている。 [ アロ君は不思議なコ … ] アロ君は … 鈴の知らなかった遊びを、          教えてくれる。 『 … 鈴 ?こっちきて !   このカガミ、ほ ら!       モッテ みて! 』         「…うん」 . それは、長方形の手鏡で、持つと、 ちょうど、鈴の顔が隠れる大きさ。 子供部屋で、 遊ぶように云われたふたりは、 「 こどもの世界 」に、入る。 「 これをね ?   こうして、タイラにして   おとさないように        ぎゅ ! って、   しっかり、モッテ、うん、   のぞいてミテ !        なにミエル ? 」     「 うん … おへや …        うえ ? の ? … 」 「 そう ! てんじょう !     ミエル でしょ ? 」          「 うん … 」 「そしたら!   そのまま、あるいて!」           「 え ? 」   「 あるいて ! 」       「 え !          こわい … 」 「 フ フ フッ ♪ ほら !   だいじょうぶ、ボクが、     たすけてあげる ! 」           「 うん … 」 鈴は、 手鏡を平に持ち、恐々、 シッカリと落とさないように、注意 しながら、部屋の中をゆっくりと、 一歩ずつ、 床を擦りながら歩いてみる … 鏡の中を覗き込んでいる、鈴の眼には、 自分の顔と、天井しか見えない、から、 それは、 不思議な感覚 … 自分のカラダや足元が見えないのは、 ここが、毎日過ごしている部屋なの に、なぜか、ゼンゼン違って、 不安で、恐くて … 床に敷かれている、毛足の長い、 ラグのモフモフなフワフワした感じと、 天井のなにもない堅い ? 平らな感じ、 に、も、違和感が、あるし、 部屋から出る、 ドアの処にくると、 天井から、壁が伸びていて、 本当は、 床は、平らなんだけど、鈴には、 その壁が邪魔で、 廊下に出られないように見えるから、 脚を大きく上げて、ピョン ! と またぎたいけど、     足元が、見えないのは、          やっぱり恐いし、 だから、 なんだか、 見えているものと、 足から 伝わってくる、感覚の違い、から、 もう、頭の中は、 ちゃんと理解できなくなっていて、 無重力 ? の様に、ゆっくりとしか、 脚を動かせなくてなって、 いつもみたいに、パタパタ ? ピョコピョコ ? スタスタ ? とは、 前に進めない。 そんな、戸惑う鈴が、 ゆっくりすぎたのか、 アロ君は、 後ろから、鈴の肩を    少し押してみた …     「 きゃっ ! 」          鈴は、恐がり、        スグ、に、止まり !        ビックリ ! したから、          しゃがみ こんだ。 「 フ フ フッ ♪ ほら !   だいじょうぶ、ボクが、     たすけてあげる ! 」 アロ君は、 カガミを取り上げ、 鈴を立たせると、その、 心配顔を覗き込んだ。 「  鈴、カ ワ イ イ !  」            「 … … 」        … ドキドキドキ … … ドキドキドキ … 鈴は、戸惑い、の、不安から、 解放されたから           ホッ ! として、 感覚は戻り、 カラダは元気に ! 自由に、動かせるから、 とたんに、           ドキドキした。 でも、やっぱり、 さっきは恐かったから、 ニコニコ顔のアロ君が、 傍に居ても、       ちょっと、         困ったままになる … 鈴は、 力が抜けたように、       また、ペタン ! と、            床に座りこんだ。 でも! これは、危ない遊び。 階段近くやベランダ、バルコニー近く でやったら、大事 ! 大ケガ ! をするかもしれないのに、 だからこれは、 大人がアロ君に教えるわけもなく、 どこで見聞きしたのか、        アロ君が考えたのか … [ アロ君は不思議なコ … ] そんな、ふたりの! まだ小さな子供時代 …        鈴 が、小学校2年生、        アロ君が、4年生の頃、 鈴の家族と、アロ君の家族の二家族は、 お盆休みに、北海道へ一緒に旅行した。 夏の北海道、 自然豊かな国定公園 … ここには大きな沼、小さな沼、じゅん さい沼に、126の小島があるらしい。 鈴とアロ君は、チチがこぐ、 ボートに乗って、楽しんだ。 チチは、目のまえに、可愛い、 鈴とアロ君を並べてニコニコしてるし、 鈴は、大好きなチチとアロ君と 一緒だから楽しいし、 ここは、いま、 真夏の明るい、 大きな太陽の真下だけど、 風は周りの水を含んで ?           涼しかった。 大人よりも、小さな、鈴の目線は、 水面に近い、 チチがオールをゆっくり、動かすと、 それに合わせ水面は揺らぎ、時おり、 水滴がキラキラ と、 飛び散る、 樹々だけが佇んでる、小さな島々の 緑と土、と、周囲の水、は、ここに、 お邪魔している鈴たちを、 浄化してくれて、 鈴が知っている、空気とは違う。    「 きもちいい ~ ! 」 小さな鈴にもそれは分かり、初めて訪 れた場所なのに、なぜかホ!っとする。 その近くのホテル、 鈴たちが、 お泊りしたのは、 山の中。 … ソワソワソワ …        … ソワソワソワ …         アロ君は、          落ち着きがなく…          「 タタタタタ … 」        「 トコトコトコ … 」 翌朝早く、 ふたりはホテルを出ると、昨日、 上ってきた車道のすぐ横の、 自然の山肌、な、斜面に顔を見せている、 草花の高さに目を落として覗き込み、 そこにいた、          アリの          行列を目で追う … 「 大きいね !」          「 うん ! 」 「 ヨイショ …   ほら、鈴 ! 」          「 … … 」 鈴はアロ君のマネをして … そのまま、ふたりは、道路から離れて、 山の中へ、 草をかき分け、その草につかまって、 湿った、すべる、土の斜面を登り、 静かに佇む、 大きな、樹々の間を進み、 鳥の声、風の音を感じながら、 まだ横から感じる、朝の心地よい 湿り気のある、 涼しい木陰の空気に包まれていく。         でも、ふたりとも、         夏の軽装の、半そで、 鈴は、 ひざ丈のスカートに、スニーカー、 アロ君も短パンにスニーカー それなのに、近所の児童公園に遊びに 来たかように、山の中なのに、平気で 進んでいく。         もう、どれくらい            歩いたのか… ふと、 鈴が、振り返ると、子供の足でも、 夢中になると、やはり、随分進んで いたのか、 そのままぐるっと、廻って見てみても、 後ろも、カラダをひねって戻った前も、 その、目に広がる、景色、 眺め、は、 時が止まった、みたいに、            いくつもの、大木に囲まれた、      鈴の知らない、別世界 … ふたりは、 抜け出したアスファルトの道路が、 全く見えない大自然の山の中で … 鈴は、 不思議にも、恐がらなかったけど、 なんだか、アロ君と一緒でも、 ポツン! と、した感じになり、脚が止まる。             「 ねぇ、アロ君 …」 鈴は、 前を進んでいくアロ君を止めた。 「 ん ? 」       「 あのね …         どこに行くの ? 」 鈴はただ、アロ君にくっついて、歩い ていただけだからなぜここに来たのか、 いまさら ? 急に、 わからなくなった ? 「 あ … こわい ?   ダイジョウブだよ … 」 [ アロ君は不思議なコ … ] アロ君は、鈴の不安げな顔に気づくと、 一言だけ返して、落ち着いていた。    『 ザザザザザー … 』         「 うん … 」 それでも、鈴は動かなかった。 8才の鈴でも、この状態は、 ちょっと ⚠ 危険 ⚠ な、カンジが、した。 いま、 ふたりは、初めて訪れた北海道の、 名前も知らない山の中で、地図も 視たこともなく、 まったく、知らない場所で、       「 ザザザザザー … 」 なのに、 ただ、歩いている、ここが、       「 ザザザザザー … 」 大きな樹々だけの、 どこを見ても、 同じ様にしか見えないから …       「 ザザザザザー … 」 なのに、アロ君は、 『 ダイジョウブ … 』と、 云ったけど、  「 ザザザザザー … 」    「 だい … じょうぶ ? 」 鈴は、 もう一度、アロ君に、訊いた。 「 ザザザザザー … 」 『 ザザザザザー … 』               『 ザザザザザー … 』       「 ザザザザザー … 」 『 キィ ---! 』 「 キィ ---! 」                 『 ザザザザザー … 』 『 ザザザザザー … 』            鈴たちが止まったせいか、 周りの音が 急に大きく、耳に響いた。 それは、樹々が出す、葉の音 ? 風の音 ? 知らない鳥の聲 ? 『 ザザザザザー … 』 『 ザザザザザー … 』       『 ザザザザザー … 』       『 ザザザザザー … 』 ここは ?          『 キィ ---! 』 『 ザザザザザー … 』 『 ザザザザザー … 』 たぶん、 夜じゃないから … 昼間なのに、背の高い樹々に 囲まれると、道路沿いとは違い、      薄暗く感じ、空気は、           透明だけど、 ちょっと、気にしてくると、 さっきまでは心地よかったけど … その、 斜面に横から吹いてきていた 心地よいと感じた、やさしい風は、 鈴たちを、 ここへ誘っていたのか、         だから、         いまは、もう、        その、風も変わり… 湿った重い感じが、 首筋や、半そでから はみ出した、腕、 スカートから伸びた肢に、 まとわりついて、 鈴は、ココに居る、なにかに、 捕まえられたように、感じる。 「 ザザザザザー … 」       「 ザザザザザー … 」             なんだか、       鈴は、いま、外なのに、             なぜか… それでも、 ここに、 閉じ込められ、た、 感じがしてきた。       『 ザザザザザー … 』 『 ザザザザザー … 』     『 にげなくちゃ … 』 「 ザザザザザー … 」       「 ザザザザザー … 」 「 え ? 」          『 キィ ---! 』 『 キィ ---! 』 今度は、 アロ君が鈴に訊き返した。 「 ザザザザザー … 」       「 ザザザザザー … 」 「 逃げる ? 」          「 うん … 」 「 なにから ? 」          「 ここ … 」 『 ザザザザザー … 』       『 ザザザザザー … 』 『 なに ? 』      『 おっきな木から … 』       「 ザザザザザー … 」    「 ザザザザザー … 」 『 ザザザザザー … 』       『 ザザザザザー … 』 「 木 ? 」          「 うん … 」 「 ザザザザザー … 」 「 ザザザザザー … 」       「 ザザザザザー … 」 .          「 … … 」 だって … ここは、涼し過ぎるからか、 この季節、外にいる時に聴こえる、 セミの声や、近づいてくる、蚊、の、 羽音も聞こえないで、 耳から入ってくる音は、今まで聞い たことがない音ばかりで、   ちょっと前の、昨日とも違って、    夏 !って、カンジじゃないし、 足元は、苔 ? と、 落ち葉が積み重なっていて ほとんど地面は見えなくて、 上って来たから、 斜めなんだろうけど、 フカフカだったり、 ズルッ ! と、滑ったり、で、 前に滑るなら、下り ? 平らなのかも ?      でも、周りの樹々は、      上に向かっているから ?      じゃぁ … それと違う、  自分たちは斜めに ? なってるし、 これ、 まっすぐ立ってるの ? って、ゼンゼン不思議だし、     いま、時計が無いから ?     ここに入ってから、     過ぎた時間も分からないし、 こんなんじゃぁ … いろんな、 感覚が鈍く ? なっていて、 でも ?        だったら、       ここが分からないのに、       このまま前に進むのか、 どこか分からないけど、 戻った方が良いのか、        だって…      お泊りしたホテルから、      どれくらい離れたのか      も、もう、分からない … パニックになって いたのかもしれない。              鈴は …        自分で、なにを言って            いるのかも … 「 ザザザザザー … 」       「 ザザザザザー … 」 それに … こんなに騒がしいのなら、 動かないはずの ここの巨大な樹たちが、 そろそろ ? いっせいに ? 『ドシン!』『ドシン!』             と!        動き出すんじゃ …      鈴 には、もう、         そう思えてきて … アロ君には、 そんな鈴の気持ちは伝わらないのか、 この会話を不思議がった。 不安がる、鈴のことを、 アロ君は、理解できない ?    …コワいよ…コワイ         アロ君?なんで…    「 ザザザザザー … 」 「 ザザザザザー … 」         『 キィ ---! 』 『 キィ ---! 』       …コワいよ…コワイ でも、鈴からしたら、なぜ、 アロ君が、 平気なのかが解らない ! … アロ君?… コワいよ …           … コワイ  「 ザザザザザー … 」    ねぇ … コワいよ … コワイ 「 あのね …   鈴 ? これ見て ! 」            …え? 「 ザザザザザー … 」      「 ザザザザザー … 」 アロ君は、 1本の樹の幹を、指さした。       『 キィ ---! 』 『 キィ ---! 』      『 ザザザザザー … 』 『 ザザザザザー … 』         「 … こ ?             … れ ? 」 「 そ ! 赤いひも … 」         「 あかいヒモ ? 」 「 ザザザザザー … 」        鈴はキョトンとした … 「 うん ! これね、   メジルシになるよ !   ずっと、同じ!   つけられたやつ、   さっきから続いてるの、      みつけたから … 」 「 ザザザザザー … 」       「 ザザザザザー … 」             それは、 樹の幹に捲かれた、赤いひも状 のベルトで、アロ君に云われた 鈴が、良く周りを見ると、 たしかに、同じように標された 樹が、点々と…         いくつもあり、 それを目で追っていくと、 線状に、 長く続いているように見える。        …つづいてる?        「 ザザザザザー … 」 「 これ、きっと …   ずっと続いてるから、   これを、1つずつ、   みつけながら歩いて       イケバネ … 」           『 うん ! 』       「 ザザザザザー … 」 初めて訪れた場所で、この樹のことも、 この標のことも、なぜ、アロ君は分った のか、それが、鈴には不思議だったけど、       「 ザザザザザー … 」 鈴を納得させると、もう、 アロ君は、キョロキョロ ! と、 自分の世界に入り ?       「 ザザザザザー … 」 幹が立派に太く成長した樹々の、 樹皮に顔を近づけ、その匂いを嗅ぎ ながら、木肌をなでてみたり、 足元の野草、キノコ、昆虫たち …       「 ザザザザザー … 」 そんな、 地面に近いところまで、 キラキラと目を輝かせながら、 楽しみ ♫ ながら ♬ 観察して、 …スタスタ       スタスタ… マイペースに進んでいく。   だから鈴は、     懸命にその後を追って …        … トコトコ  …トコトコ       「 ザザザザザー … 」          そうして … でも ? それは、 偶然 ? か、その通り ? か、 「 ザザザザザー … 」    「 ザザザザザー … 」       「 ザザザザザー … 」 「 ザザザザザー … 」 その、標を、みつけながら、 ふたりが「 ガサガサ 」と、 ときに滑りながらも、湿った苔や 落ち葉の上を歩いて行くと、        「 ザザザザザー … 」 「 ... ん ! ... 」       「 ... え ? ... 」 『 ?! あ … ねぇ!そこ …           明るい !? 』 動かないけれど… 森にすむ? 巨人たちの様に? 鈴にはメチャメチャ怖かった!     樹々たちは、鈴とアロ君の            後ろへ下がり、 ふたりは、 ヒョッコリ ! と、 !...「 パサッ ! 」       !...「 タン ! 」   ! アスファルトの道に出た。        ?『 ぅわぁー ! 』          鈴は、驚いた ! それに、 救いだったのは、 アロ君が一緒だから、 鈴にも興味深いほど …         なにせ アロ君は、ただ歩き続ける、 の、ではなく。 キョロキョロ ! と、止まったり、 しゃがんだり、飛び跳ねたり … そんな感じで… ここに出るまで、いろいろな動きを          していたせいか、 それで鈴も気が紛れて ! 本当は、もう、かなり、歩き 続けていたのに、      まだ、鈴は、ここでも、       歩けるくらいの?      だからそんなには       疲れてはいなかった。        「 アロ君 … 」 でも … そこだって、知らない道だけど ? 鈴は、鈴でも判る、ヒトが造った、 道に出ることが、できたから、       ゼンゼン、平気で、        ホッ ! としていた … 「 … ね ?   上って来たから、   この道を、   下ればいいんだよ … 」 アロ君も、 初めて見た道なのに ? いま、ここへ来たばかりで、 なにも知らないはずなのに、 また、自信満々に、 キッパリ ! と、断言する。 その、 堂々とした、アロ君の指示に ?         鈴は、ただ、肯く。          『 うん … 』  … アロ君って、      なんで ? わかるの ? …         鈴は、不思議だった。 ( けれど ? 意外にも ?  神様が助けてくれたのか …  これも正解だったみたいで ? ) そんな? 本人たちはなにも知らない          この道を、   …テクテクテク …         …トボトボ … ふたりの子供の足で、 ゆっくり歩いて、 そんな時でも、時間が ? 疲れが ? 気にならないように、 アロ君は、 これも興味津々で、        嬉しそうに、 また、キョロキョロ ! っと、        散策 ? を楽しみ、 こんどは、 道端の野草や、昆虫たちに、 眼をやり、 小さな清水の湧水を見つけ、       汚れた手を洗い、 汗が、流れ出た顔も洗い …       「ピチャ!ピチャ!」      『 ぅわ !   冷たくて気持ちいい !     鈴、洗ってみる ? 』    『 うん …      わ ! つめたぁぃ〰 ! 』  「ピチャ!ピチャ!」 鈴が湧水で顔を洗うと、 水道水とは違って、ピリッ ! と、          したことはなく、    濡れたままの皮膚は     柔らかくなった感じがした。 『 フ フ フッ ♪ ね、        やっぱ!   ここの虫たちって、     おっきくない ? 』 と、もう ? その近くで見つけた、ツヤツヤで 真っ黒な、鈴の知らない 虫を、       ツンツン ! … そばでみつけた小枝で突いて、 アロ君は目を大きくしている。 その、懲りずに、探求心いっぱいな アロ君の様子に、鈴はまた安心し ?          「 うん … 」      アロ君の目の先の、      虫たちを一緒に、観察した。 そして ... そんな感じは、 歩いて、休み、また、 歩いて、休みに、なり、      その繰り返しで、       鈴は、バテることもなく、        ゆっくり下ってくると、 ( それも、   偶然 ? それとも ? ) アロ君が云った通り、 ちゃんと ? ホテルの前に戻って           こられた …         『 ぅわ~        アロ君すごい ! 』         鈴は、また、         アロ君に驚かされた、           の、だけど … ふたりが戻った、 朝には静かだったホテルの周りには、 たくさんの、 大人たちがウロウロ ? していて ?            それぞれが、 長い棒や、ロープを手に、 ホテル横の斜面を登り、ウロウロ ? と、歩き回っている ? 棒で草をかき分け、 どんどん上がって往く人もいるし、        「 お~い !          お~い ! 」 「 どこだ~ ! 」 「 どこにいる~ ? 」 「 お~い ! 」     『 どこだぁ~ ! 』          『 お~い ! 』 遠くまでとどかせる声を掛け乍ら、 なにかを探している人も … その中には … チチと、 アロ君のダァッド、マミーと、 鈴のハハ … ハハは、泣きはらしたような、 グジャグジャな顔をしていて … 誰か知らない ? ホテルの人 ? に支えられて、 やっと、立っているような感じで … まだ、小さなふたりは、 そんな、 大人たちが、アタフタ ? した中に、 キョトン ! と、しながら入って往く。         鈴は真っすぐ、         ハハの傍へ駆け寄り、  「 ハ ? ハ ?    どう ? した ? の ? 」       そんなトボケタ鈴の声に、       ハハは、  『 鈴 !! 』   弱弱しそうだった、ハハは、   意外にも、大きな声、が、出た。 このふたりは、 朝の散歩 ? から還ったくらいに 思っていたのかもしれないけれど? でも…   親たちに、なにも言わないで、    勝手なことをしたのだから … ちゃんと 戻ってきたけど … 大人たち、から、してみたら、          朝早く、 気づいたら、 小さなふたりが、 居なくなっていて ?   自分たちで、探したけれど、        見つからなくて ? ! 朝 から … でも、ゼンゼン        戻ってもこない ?         いま まで ! そう … きっと … 子供と大人の、 時間の進み方は違う。          鈴たちは、まだ、    「平気だし ! 」なんて、思って              いたのに、     だから、普通に ?     戻れた ! と、思ったのに ? ( これ … 鈴は、  怒られるのが恐くて、   訊けなかったけれど )     みたい、だった、ようで … この、大勢の人たちは、 ホテルの従業員の方々、町の、 消防団の方々、お巡りさんたちと、 救助隊員 ? の、方々、 コノトキ、ここでは、 どれくらいの騒ぎになって いたのか、は、     ふたりには分からないけれど、          鈴の小さな瞳には、 山の遠くの、 緑の、かなり上の方まで、 グレー、黒、紺、 オレンジ … と、いろんな色の、 ユニフォームを身に着けた方々が          動いて、いた … そんな、出来事は、       この、小さなふたりには、              不思議で、 大人たちだけが、ビックリな、 大事になっていた … ところが、そんな中、 チチだけは、 『 ほら ! 』        ボ~ッと、突っ立ったままの、 鈴とアロ君に、近づき、 怒っていない ? ニコニコ顔で、 山の中で見つけた ? 木苺を、 鈴に手渡した …           『チリン♪ … 』                    !『 ぅわ~ ❣ 』         鈴は、これが !         今日、1番 !         の、めちゃ!        嬉しかった ! こと。    「 ごめんなさい … 」 鈴は、 チチにペコリ、         と、頭を下げた。           チチは、 そんな鈴を優しく、 ギュッ ! と、ハグしてくれた …          でも… こんなに、 大人たちが大騒ぎをしている、 それを目撃して、 さらにそれが、 自分たちが原因だと、 判ってしまっても、 だから、それに、 鈴はビックリしても、               なぜ、               まだ、              幼くて、              小さな、          鈴は、この場で、         泣きだしもせずに、       キョトン ! と、だけ、        してしまったのか … それは、その大人たちの、          腰に着けている、 クマよけ ? の、 スズの可愛らしい音、 トレッキングベルの軽い高音、が、          ここを、明るく、  賑やかにしていて、      鈴には、その、       音の意味が分からず …          そんな、いくつもの音が、  あちらこちらで、たくさん、                  鳴っているから … もう、 カラダは動かないけれど、              そのせいで、     キョロキョロと、鈴の眼は、     動いてしまっていたから … それと …     そんな鈴のすぐ傍には、 鈴よりも大きいのだから、 この現状を、 理解できるはずなのに、 こんな場面でも、 動じず、無表情で、 泣き出しもしないで、 でも、鈴を守るように、 最後まで、 鈴の横からは離れない、 アロ君がいたから … 鈴には、このときにも、 … 『 だいじょうぶ、ボクが、       たすけてあげる ! 』…                        聴こえてた … アロ君は、ずっと、  鈴の手を握っていた … ずっと、  鈴と手を繋いでいた。 その、アロ君は …        鈴は、結局、         チチだけではなく、 ずっとここで待っていてくれた、 グランマにも、ハハにも、 アロ君のダァッドにも、 マミーにも、 ここの人たち、 鈴に駆けよってきてくれた人、 そんな鈴の頭をなでてくれた人、 にも、 『 ゴメンナサ イ… 』   と、ペコリ、を、           したけれど …        「 アロ君 ? … 」 アロ君は、無表情 … 口を閉じたまま、 最後まで、誰にも、 「 ゴメンナサイ 」を     言わなかった。 ( これ … 鈴には分からないけど、  本当は、この、事の重大さに、  驚きすぎて、アロ君は凍りつき、  固まって、しまって、  いたのかもしれないけれど … )       幼く、それが判らない、           鈴の眼には … アロ君は、堂々とした ? 強くて、不思議な男の子。 鈴は、 この後も、 しばらく ? ずっと ? コノトキの、スズの音と、 ソノトキの、アロ君の横顔、 が、頭の中に残る。                『 チリン♪ …』              [ アロ君は不思議なコ … ] 鈴は、小学校4年生の時、 カラダは、大人と同じになった。 このころ、まわりの友人たちは、 だんだん、スポーツブラを、 着けはじめていた … 鈴も、 ハハに買ってもらった、子供用の ブラを着けて学校へ行っていたけど、 暫くすると、 その、デザインなどが気になり、 可愛らしいのを    見つけると、買ってもらって、 自分の部屋で、こっそり ! 鏡の前で、ムズムズする、 その姿を確かめていたりして、                「 エヘッ ❣ 」 或る日、も、学校から帰ると、 鈴は独り、子供部屋で、 上半身裸になって、 大きな鏡の前で、 新しく買って もらった、 可愛らしいブラを着けて …          「 ムフフ ❣ 」          鏡の前に立つと、 そこへ、急に、     『 ねぇ、鈴 ! 』           その、 大声が先、だった、けど、      鈴が返事をする間もなく、 ⁉ 『 バタン ! 』 ドアを開け、 アロ君が、登場した! !『 へ?』                 『チリン♪ …』                                        「 アロ君 ? 」 … ドキドキドキ ! …   … ドキドキドキ ! …     … ドキドキドキっ ! … [ アロ君は不思議なコ … ] この日は、平日 ! お盆休みでも、 お正月でも、 土日、祝日でもないし、 大型連休でもなくて … アロ君が、家に、来てたなんて ?        知らなかった、鈴は、 ?ビックリ ! と、 恥ずかしさ、とで、    目の前が 真っ白になる …    でも、    頭は、意外にも、動いてる ! そして、 この、 アロ君は、6年生 ! きっと、 これが、なんなのか、 解っている …        だから、鈴は …     … ぅ--------わっ ! … … なんで ? …       …や ! 見た ? … … やだ !  チチに、も、まだ !  見られたことが無いのに !! …    … へ ? チチに ? や、     いま、そんなこと !        ちがう ? そ ! … … もぅ------ !! …    … こ ! ここはどこ ? … … こ・こ・は ? …   … ここ!     うん、わたしの !           部屋 … … そ!!  わたしの部屋なのにぃ〰 !! …      … ぅ―――――― … … な ? ん ? で ?… 『・・!・・』    「・・!・・」 ふたりは、ポカン ! と、 口があいたまま、固まった …          ... 鈴は、      !… 見られた ‼ … ... アロ君は、    !… 見てしまった ‼ …      頭の中が、ワード混雑 !      グツグツグツ !      の、鈴が口に出して、            云えたのは、         『 や !! 』 アロ君は、 『 うん … 』 これ … ふたりとも? 『 被 ? 害 ? 者 ?』 ! 『 バタン ! 』 「ドドドドドドドドド…」 アロ君は、口をギュっ ! と、閉じ、 パチパチ !と、瞬きしながら、 慌てて、部屋を出て、                鈴は、       今更だけど『 パッ ! 』と、         胸を隠して背を向けた。            そう … アロ君は、もう、    6年生だから、 いつの間にか、 ... 独りでも、自由に、     いつでも、 鈴の家へ、 来ることができる ! ようになっていた …    … 「ぅ――――――」 …    鈴は頭を抱え、地団駄を踏み、             呻った … そう、これは … もう、仕方がない ? けれど …      … クラクラクラ …             アロ君のせいで、 もう、      女の子じゃなくなった ?             … いやいやいや …                 大人になった 鈴 ?        を、見られた !             から ?        … いやいやいや …                   鈴は、         開き直って ?          … いやいやいや …                 少し落ちついた ?             … いやいやいや …                   でも、          やっぱり ?         『 ぅわ ! ダメ !        混乱してる !』 だから …              自分の部屋、     この、" 現場! ” には、 なぜか、独りで、 ジッ!と、していられなくなって、                 急いで着替えて !                 鈴が、恐々 ? ... 「 パタン…」       アロ君を探すように、        リビングへ、往くと、 アロ君は、もういない …    すでに、去っていた …         !…チリン…                     「 アロ君 ? 」 ? アロ君は、 なぜ、 鈴の部屋に ? 来たのか ?      鈴には分からないまま ? この日、は ? 帰る のも早く …                  リビングで、独り、      ? 鈴はキョトン ? と、           していて …    でも鈴の…        ふたつの頬っぺと、      ふたつの耳と、      胸のあたりは熱くて … …ドキドキドキ…     …ドキドキドキ…        …ドキドキドキ… 「 パタン…」    ドアが、    閉まるようにもたれかかって、       鈴は、呆然とした …           でも … このふたりの、 そんな、気まずさは、 これ、だけでもなく … [ アロ君は不思議なコ … ] 中学受験をしたアロ君は第一志望に 無事合格し、入学式の後、鈴の家に、 その立派な姿のお披露目で登場した。 その、 ぴりっ! とした制服に包まれた、  自信に満ちたアロ君を見た鈴は …         !…チリン…                    「 アロ君 ? 」 アロ君が、別の世界の人になったと、 実感する … そして、そんな距離ができた、    はずの ? 鈴と、アロ君 ?            で、も … この後、も ? 不思議な、アロ君 ? な、だけに、 鈴の 『 嫌です ! 違うから ! 』の !タイミングで、          鈴の家に、           鈴の部屋に!             アロ君は、登場する。         或る日には … 鈴が、    帰り道に雨に濡れ、ビッショリ! に、なったから、家に着くなり、 バスルームに飛び込み、シャワーを 済ませ、バスタオル1枚を、カラダに 捲き、           そのまま、  そりゃ … のども乾いたし ! ジュースを飲みたいから、なんて、   まだ、バスタオル1枚の姿で !     …ジュ〰スジュ〰ス!…                  パタパタパタ ❣ … ...タン! 鈴が鼻歌まじりに、キッチンへの ショートカットでリビングへ入ると ! いつの間にかアロ君が来ていて、 ? ( え ? ずっと、そこに居た !? )  ( う ? 鈴が、シャワー中にも ? ) ( は ? わからないけれど ! )                で ? いまは、鈴が出した、 ドアが開く音に ♪ 反応した ? ドアの方へ ! 眼をやった アロ君と?      ! バスタオル1枚の !          鈴は眼が合い …               「 あ ! 」っと、 アロ君は、図々しくも、エアコンの   効いた涼しそうなリビングで ! ソファに、まったりと ?           チャッカリ ! と、くつろぎ ?           あろうことか ! この家の住民の鈴よりも、先に、 手にしていた、 ジュースが入ったままのグラスを !       『 カタン ! 』 床に落とし …         !…チリン…           ⁉『 ぅわ ! 』              『 ぅわ ! 』 そのジュース … 床にぶちまけたり、で …    「 もぉ -----!         なんで---!」 その音で、鈴は、反射的に、          逃げる ?! ( … 自分の家なのにぃ? … ) … パタパタパタ …             …「 ぅ ----!    また!見られたぁ ! 」 ( おかげで、鈴は、まだ    カラダが熱いのに、ジュースを  飲めずに、そのまま、退散 ?   し、部屋にこもるはめに … ) 注:この時の床の後片付けは        もちろんアロ君 !          …「 ふん!」 また或る日には… 鈴が、 ゲームに夢中になり、 我慢に我慢を重ねた、限界 ! に、 トイレに駆け込み … その勢いの、スゴ ! い、音を響かせ、 「 ふぅ ~ 」っと、スッキリ ! と、した、声を出しながら、  .. 鈴がトイレから出てきた、         瞬間 ! その !           デタ ! スグ ! の !トイレ⁉                  『 ゼッタイ !          や ! ダ ! 』         「 ぅ!」 「ぁ?」 な、タイミングで、 トイレに入ろうとやってきた、         !…チリン…            腰のベルトを外す手先を気にしている アロ君とガチ対峙してしまった時 …     …『 ぅえ――― ! 』…                   注:それに …           鈴はこの時、        これだけではなく … 本当は、 スグに、トイレには入ってほしく ないから、鉄壁のディフェンスで、 トイレのドア前から動きたくは         なかったけれど … アロ君がここに居るってことは …                      もしかしたらって …          だって ! 部屋、も ! いま、ゲームに夢中だったから … ( … 荒らしっぱなのにぃ! … ) … すでに、それも ? !見られたのかもしれない ? …        … トボトボトボ … 鈴は、トイレも、 めちゃ気になるけれど !            これだって !      ヤな予感、の、まま ! … トボトボトボ … その現場の部屋に戻ると …               「 ぁあ...        やっぱり… 」      ドア、が、開いてるし …              … だったよね …   散らかしっぱなしだったし …  …「 そ … これ …      見たんだよね 〰 ! 」              『 ふぅ------- 』             …バタバタバタ…       …バタバタバタ … …バタバタバタ … 鈴は、大きく息を吐いて、 アロ君がトイレから戻ってくる ? までの、短い時間に追われながら、 …バタバタバタ…    …バタバタバタ …     …バタバタバタ …             本当は、  ゲームに戻りたいのに、 諦めて、     片付けを始めた … それに …      また、また、或る日には、 ハードな一日で、 空腹に耐えかねた鈴が、   誰も居ないキッチンの冷蔵庫を         開けっぱで、その、 ヒエヒエ~ ❣ 冷気を浴びながら、       ファミリーサイズのデカ容器の、   グランマお手製の、  フランボワーズソルベを、                        欲張り ! カレーライスを食べる時に使う、 ドデカスプーンで、頬張っている、 デン ! と、あぐらをかき、 冷蔵庫の前に陣取った姿を、                   !…          「ゃ…」             また ? たまたま ? もはや、あたりまえのように !    でも、やっぱり、突然 ! ことわりもなく自分だけ ? ジュースでも ? と、 冷蔵庫めがけて登場したアロ君と             遭遇し、 「…ぇ!」       … いつも、         これって !          なんなの ? …  その、扉が開いた冷蔵庫の前、    ドデカスプーンを銜えた、    獲物 を抱え込んだ ?     野獣の? の、ような !    ドッシリとした姿を ?!     見られてしまったり … で、                     !…チリン…                    「ぅ〰! 」 …「 … また見られたぁ〰 」        『 くぅ----- 』 『 こんな ? はずじゃぁ … 』             鈴が全く " 察知できない! " こんなに、突然 !   出没するアロ君は、厄介で … 乙女 な? はずの、 鈴の思春期は、 ことごとく、 悪意に満ちた 偶然に、       その、イメージは         ズ タ ! ボロ !            に、壊され、             従兄妹同士だけど、                秘めていた、              幼い頃から密かに胸に抱き続けてきた、   アロ君への恋心、の、ために、 これから、その、 いざ ! という時のため、に、 頑張っていた?これから、 尊く、 造り上げようと考えていた、 そんな ! 乙女像 を、 本人に魅せる前に、           もう、 アンビルド ! 壊滅的にされてしまった。 こんな、鈴の思春期、そして、 同じく、アロ君の思春期、       それは、結局 … 『 … 鈴 ? って ?    女のコだよね ? … 』          「 …… う ! 」       アロ君には、目に映ったまま、の、 無防備に油断した鈴の日常の姿が、 刷り込まれていった … 鈴は、被害者だ。自分の家を、   クツロゲル.はずの我が家を、 家族、でもない、アロ君に、 侵害され、辱めまでも?受けた … … 神様は、意地悪だ !         そう思ってた …     鈴とアロ君の中学、高校時代 …       「 だって !        家に居る時ぐらいは …      off になりたいのにぃ〰 !」                      そして、鈴は、高校3年生になると、 アロ君は、20才になった ! アロ君は、      中学校の制服を鈴に魅せつけた、 あの日の様に、      鈴をまた置き去りにして、 こんどは、 自分だけ大人になった。        ? ハズナノニ ? [ アロ君は不思議な… ] なんだか ? 鈴よりも幼くて … 大学生のアロ君は、鈴の部屋に置きっぱ にしておいた、子供の頃に大事にしてい た、あの「 植物図鑑 」を持ち出し、 子供の頃の様に、鈴の家の庭で、 土いじり ? をし …              スコップで、穴をほじり始めたり、 日光浴に登場した、カナヘビを捕まえて、 手のひらに乗せて観察したり、 庭にしばらくいたと思ったら、        穴を掘っていたところで、         そこにあったのか? アロ君は、 石を眺めていて …  それは、 アンモナイトの化石 ? を、 ジッと見つめていたり、 平らな葉っぱ ? の、 たぶん、シダ ? の植物化石も …                  !…チリン…                  「 アロ君 ? 」 でも … たしか、 進んだ大学は商学部のはずなのに ? それに、もう、 図体はかなりデカイ男なのに ? 背中を丸めた猫背で、    土いじり ? を、している … しかも、 自分の家ではなく、        鈴の家、の、庭で ? それは、 「 大人には… なりたくない 」            のかな ?     そんなふうに鈴には見えた。              … そして、アロ君は、 ゼンゼン意外な、 大手化学消費財メーカーに就職し、 アロ君のダァッドを驚かせた。 鈴は、シャワーをするたびに、 アロ君の就職した会社の製品、 シャンプー、コンディショナー、 ボディーソープを、いままで、 使っていたことに、                        驚いた … そして、愛用している、 香り が、 めちゃお気に入り ❣ の、 ヘアフォームのムース も、そう …                   !…チリン…                   「 アロ君 ? 」 その2年後、            鈴は就職した。 鈴は、1年目から、 毎日遅くまでの残業が続いた。 それがあまりにも続くので、 家族が心配になってくると … 「 鈴 ?その会社で、      なにをするの ? 」 アロ君は、そう云ってきた …          「 え ? 」 アロ君は、きっと、 鈴を心配してた。        こんなカンジで … アロ君は、 大人になると、よけいに、 ますます、口数が少なく なってきた。でも、 鈴の家に居る時には、 いつも鈴の近くに居て、 たわいない会話にも …    「 ね ?     アロ君のダァッド、     スゴイね、     いま、お仕事で、      クウェートだっけ?」 「 カタール … 」 ちゃんと、訂正するけど、 なぜか他人事のように呟く … だから、会話は続かないけれど。 それから、また2年 …       !. アロ君は、仕事で、アメリカ、 オハイオ州シンシナティにいる。 鈴の知らないとこだけど、    鈴は心配などせずに平気だった。 「 あの夏 …      なにが居るのかも   知らない、山の中 …   無防備に迷いこんでも、   アロ君とだから、   ちゃんと生還できたし !   ね ! 本当は、      なんでもできるから …            そ !   カップのアイスだって、   スプーンが無くても、     食べられそうだし !   きっと、     ゼンゼン大丈夫 … 」 今まで傍にいたのに、 暫く離れることになったアロ君には、 なにも言えなかったけど、 鈴は、自分の部屋に居る時は、 いまも、鈴の物と並んで一緒に置いて ある、アロ君の物、が目に入るから … グランマお手製の、ミルクティー味の アイスを食べながら、 アロ君の、あの植物図鑑を手にして、 ゆっくりと、ページをめくり、 呟いている …         !…チリン…                   「 アロ君 ? 」 …『 フフフッ ♪   だいじょうぶ、         ボクが、    たすけてあげる ! 』 …               「 だから、         平気だよね … 」    鈴は、自分に言い聞かせていた。 [ アロ君はそれでも不思議な … ]   そして、それから1年経ち、 なんだか … 違う部署に異動になったらしく、 アロ君は日本へ戻り、広報部で、 デジタルメディア広告の、仕事を、 している ? らしい …     「 ねぇ … アロ君、         て、不思議 … 」 「 不思議 ? 」     「なんで宣伝 ?        の ? お仕事 ? 」 「 …… 」 ( たしかに、鈴の部屋には、   子供の頃から、もう、   3代目、の ?   床には、モフモフの、    ラグが、あるけれど … ) なにが楽しいのか … 鈴の部屋で、ただ、寝転んで、 そのラグの上で、ゴロンゴロン ? と、しながら、 こんな鈴の突然の呟きに、       アロ君は首を傾げる、   「 いまだに、なに ?      考えているのか、       分からないから … 」            鈴は、なぜか、 いま ! まったりと、 ゴロゴロ転がっている、 大人なはず ? の      アロ君を見ているから … そんなことを云ってしまったけれど、 『 … 会社には、ずっと、     頑張ってほしいから … 』 アロ君は、 アロ君な、まま ? だけど … こんなカンジは、分かりづらい。           「 そ ? 」 … ゴロンゴロン …      だから鈴は、      そう云われても …     「 ...? 」に、なるけれど … それでも、 それが、アロ君なので …      … ゴロンゴロン …     『 ね … じゃぁ …     もう、お仕事で、     海外に行かないよね …       … わたし … ね …     アロ君 … にね …     ずっと、     傍に、居てほしいな … 』                      それでも ?       だから ? やっと、いま ?        こんな時だけど ? ずっと、アロ君は、 ここに ! 居るみたいだから ?     気どらずに、     鈴は、思いが伝えられた ! 「 う … ん … 」   … ゴロンゴロン … アロ君も、 それにはすぐに肯く。 そして …      … ゴロンゴロン … 『 ボクは … 鈴が …   ボクの近くに     居てくれるなら … 』 … ゴロンゴロン … アロ君も、そのまま、 まったく、気どらずに、 普段どおり ? の、カンジで、     「 ん ? 近くにね ? 」            ニコニコニコ…❣ そ ! だから ! いま !       鈴は !           乙 女 !         なのに ? アロ君は、 それに、気づかずに ? 悪気もなく、また、 不思議な、カンジで ? ボソッ ! と、謂った …      … ゴロンゴロン …  「 うん … 近くでね … .    『 お・な・ら ! 』は、     しないで …          ほしい … 」 … ゴロンゴロン …                『 … え ? 』         !…チリン…                   「 アロ君 ? 」         …ぴゅ-----! …ぴゅ-----!   …ぴゅ-----!       …ぴゅ-----!        そのとたん! この部屋の天井の方から? オーロラは見えないけれど ? サーッ ! と、    冷気が !下りてきて、        このアロ君の呟き ? に、 唖然とした鈴が、  天井を見上げてたから、   それは、  鈴の顔面から全身にまでかかり …       いや … もちろん ! 鈴は、1度も、アロ君の傍で、 そ ! ん ! な ! こと ! した・こと・が・ない・の・に ‼ なぜ、アロ君は ?…         これは、いま … 自分が鈴の足元に居るからか それとも … そんなことにでも、気づくほど … 鈴の、スグ ! 傍に、居たいからなのか ?                 それとも … ここの、 ラグがアロ君もお気に入りで ? いま、は、気持ち良く、 寝転んで居る最中だからなのか ? それとも …         もしかしたら、 以前の『 あの鈴 ?! 』 … あの忌まわしい、あの姿がいまも ? アロ君の中には … インプットされていて …         だから ?…     … バタン ! ?でも、もう " アれ ! "            は …            『 過去のコト 』として、      鈴は、✝ 葬ってたし! だから鈴には、それも、 これもあれも ? もう解らずに ?        ! 鈴は、怒って、 ?そんな ! ! アロ君を跨ぎ !            そんな ! アロ君をその場に!         放っておいて ! ! … ダ ! ン ! ? 勢いよく !『 ダダダ! 』っと、 自分の部屋から出て行った !      … ゴロンゴロン … 「 え ? どうしたの ?     鈴 ? トイレかな … 」     … ゴロンゴロンゴロン … … だって …     鈴の髪 … いつも …    いい匂いなんだもん … … ゴロンゴロン … 鈴の髪の匂いは、 あの時からずっと、そう … だから、 アロ君は会社でのお仕事を、そう … … ゴロンゴロン       … ゴロンゴロン 『 ぁあ ~   この 部屋 落ち着くぅ ~ 』       … ゴロンゴロン … ゴロンゴロン [ ? アロ君は不思議 ? な … ]                       …パタン ! 鈴は、 キッチンで、グランマお手製の マーマレードジャムのビンを開け、 1/3 ほど残っていたジャムを 「 ドッ ! 」と、   たっぷりサイズの400g ヨーグルトパックにゼンブ 出し!                八つ当たりの様に! 「 グジャグジャ !」に混ぜて、 拗ねたまま「グワッ !」 と、        ?大口で頬張る!                     すると、そこへ、 ノコノコ ?  アロ君がやってきて … 「 あ ? 」 と、口をポカン !   と、開けたから、 『 もう! ジャムないから!   私、全部食べちゃうから ! 』 と、鈴は、 アロ君に見せびらかすように   ヨーグルトを食べたりして … アロ君は、口を開けたまま、 羨ましそうに見てたんだけど … ! 『 … ん! 』          … パタン ! … パタン ! 冷蔵庫を開け … … カチャ !    『 とくとくトトトト … 』 鈴が放っておいた、空の、 ジャムのビンに、 ヒエヒエ〰、な、炭酸水を …             「シュワァ…」         「シュワァ…」    「シュワァ…」          カランカランカラン…        マドラーをビンの中で動かし、        ジャムを溶かして、  さっぱり! ほんのり、 オレンジの香りの       ソーダ 水 を作ると、 このビンは、 グランマお気に入りの カットガラス瓶で、 ! 照明 が反射するから、         キ ラ キ ラ…         可愛らしいし … だから、 鈴もつい!目がいく! キラキラ 乙女 の、              明るく、癒される、 気分が落ち着く淡い色の、 オレンジの香りだけど、 レモンクォーツのような 涼しげなジュースになって …   アロ君は、      鈴の横に並んで、          「 ん ? 冷たぁ !        ね !  これ、鈴と同じ !        だね … 」                  鈴と、同じ、           一緒なのが? 嬉しそうに ニコニコ ❣ で、呟いた。          !…チリン…                     「 アロ君 ? 」               その、おとぼけた ?      アロ君に、鈴は、吹き出し、             「 ぷ … あ ? ね !     それ ! いいなぁ ❣     一口、ちょうだい ? 」       つい、       欲張ろうとしたんだけど、 ! 『 … ヤダ !   ゼンブ、   ボクのだから ! 』          こんなときにはすばやく ! ピキ ! っと、 ジャムのフタでふさいで … だいじそうにビンを抱え込み、 エルボーブロック ! で        隠しながら … 「 ゴクゴクゴク …」         ときどき苦みを感じる、 ソーダを、     「 ゴクゴクゴク …」              アロ君は急いで飲み干し、 爽快感で気分は癒され、   お腹も満足させると、 『 プ ハァ --- ❣ 』         やっと、いま ? ようやく ? 目を覚ましたような表情になった。                     『 あぁ〰! 』 それにあきれて … ⁉ 目がおっきくなった鈴は、                            「 ムフ ! 」 「 フ フ フッ ♪ 」 それでも、ふたり、は、 楽しそうに、        笑い聲のまま …          向かい合い、 爽やかな …          甘酸っぱい … そうだから … ふたりのリップスは、同じ、    マーマレード 味の … ❣ !「 チリン ❣ 」           でも!もう!子供じゃないから!       鈴は、こんな、普通の日、 ... 外に出ることもなく、    代わり映えもしない ?           家の中で、        ウロウロ …     バタバタ … 動き回り、        でも、鈴が、        独りになろうとしても、 アロ君が、こんなに!      家の中じゅうを捜しまわり、       鈴を見つけたとたんに! なぁ~んにも、 声を出さなくても! 絶対に! ピタッ!と、傍に、       ちゃんと来てくれるのが、       スマートじゃないから? 幼い頃の … 鈴の大切にしていたあの!        絵本の中の、  王子様が登場するときの様に、       昼間でも、星がたくさん?         空から降ってくる?              キラキラ感は ⤵ ないし! いつも、キリっ! と、            した事のない! おとぼけ顔のアロ君は、           なぁ~んに、も ! 王子様らしい ?            そ ぅ … ギュ ❣ って、力強くハグしたり ? らしく ? 顎クイ ! でキスする ? 事もしてくれない ? けど、             こんな、アロ君の、         鈴を捜すときの、  … トコトコトコ … … トコトコトコ … … トコトコトコ …   … トコトコトコ … の、足音が、ずっと、           この家の中で、 だんだん、 大きくなるのも …     ちゃんと、          聞こえてたし … …「よかった !   鈴、ミツケタ ! 」… の ?           きっと ホッ ! と、した ?    たぶん、慌ててた ?          アロ君の … そんな 熱い息遣い も、           ちゃんと !.    鈴に伝わってきた ! から、   だから、 鈴 も ! 本当は、いまも ! 乙女 ! で、                     … キュン …             やっぱり … 嬉しい …          ムフムフっ… … ぁ~あ! グランマと一緒に暮らしてて良かった!            だって… それだから、ここ! アロ君のグランマの家でもある訳だし だから!アロ君 ずっとここに来られるし ! ずっと! ここに居られる           でしょ… …ヵタン! 「 … グランマ! 今日も!   ありがと! これめっちゃ!        美味しかったよ!」   「 ほら!ね! アロ君?     いっしょに片づけようよ …        … 美味しかったね!」 「 … え? なにが?」     『 … やだ!そういうとこ!』       
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!