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ほんと、ロックパーティーなんかに出てるヤツの中では珍しいタイプだ。日焼けして、金髪をてんこ盛りに立てて、ゴツいクロムハーツなんかを首からかけて、Tシャツの胸元は深めに開いてて、ゆるゆるのジーンズは腰から滑り落ちそうになってる。
ギャル男以外の何物でもない。絶対にロックじゃなくてパラパラだ。こういうのに告白されて喜ぶのは、渋谷のガングロギャルだけだ。普通は警戒する。
「見た目で判断するのナシっしょ」
「世間てのはそんなもんだからね」
ちょっとは思い知っておけ。人を見た目で判断しちゃいけない、なんて建前。踏み込んでから面倒なことになる前に、見た目で一次審査してその手間を省くんだよ、普通は。
「世間は知らないけど、シンリさんならわかってくれてると思ってる」
「まだ1ヶ月しか経ってない」
知り合ってから、1ヶ月。もう何年も出入りしてるみたいにデカい顔してるけど、まだそれだけの付き合いでしかない。
右手のマウスと左手のキーボードを操りながら、画面に音符を置いていく。
「……ねぇシンリさん」
「ん?」
少しの間黙っていたヒロが口を開く。
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