GAME

14/17
前へ
/17ページ
次へ
 こいつが食いさがるから何となく会話してるだけで、前向きじゃない。空気が読めるこいつなら、それはわかるだろう。わかったなら、その話はここまでにしてくれ。物分りはいいんだから。 「もう一回言わせて」  何だ? 俺が仕事してんのはわかってるはずなのに、まだ引っ張るのか。邪魔するな、って空気感は出てるはずだろ。 「シンリさんが好き」  ああもうめんどくさいな。つい、返事が滞る。あんまりうるさいなら、明日から遊びに来るなって言わないと。 「俺はシンリさんを抱きしめたいし、キスしたいし、エッチしたい」  俺は別に望んでないよ、それ。そう思うのは勝手だけど。 「一緒に美味しい物食べたいし、映画とか見たいし、ドライブとか連れてってあげたいし、お酒呑みたいし、踊りたいし」 「ヒロ」  名前を呼ぶと、次々と願望を垂れ流してた口が閉じる。 「俺は仕事中だ」 「……うん」  しおらしいな。素直なのはいいところだ。 「黙んないと出禁にする」  俺のことが好きなら嫌だろ、それ。 「えっ……じゃあ、一つだけ答えてよ」 「何だよ」  付き合うのか付き合わないか、の返事か。付き合わないってもう言ったのに。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加