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確かにそれは不可避な感じだけど、こいつが真っ先にオタオタしそうだし、腕っ節が強そうな感じもない。
とはいえ、とにかく何かから俺を守りたいんだと言う意志は伝わった。手段と目的が入れ替わってる気はするけど。
「耐震は最新、決壊する川もなくて、津波も来ない。床上浸水の可能性ゼロ。セコムにも入ってて、二重ロック」
「じゃあじゃあ、詐欺とか!」
「お前が先にころっと騙されるところしか想像できない」
「ふぇ……」
情けない顔だなぁ。そんなに俺を危機に陥れたいのかよ。お前が守らなきゃならない場面ってのは、俺が窮地に陥った時なんだぞ? それすら頭から抜けてて、大丈夫かな、こいつ。
ことが起きたら、寧ろこっちが守ってやる羽目になるだろ。
「何でもいいよ。今日中に口説くつもりじゃないんだろ?」
「今日中に口説けたら、今夜が初夜の予定だけど」
「バーカ」
何を期待してんだか。そんなに、この地味な男とセックスしたいかね。別にイケメンでも美形でもない俺とさ。
「てへ。でも、一日でも早く落とすつもりだよ、俺」
M字に分けられた前髪のかかる大きな目が、人懐っこく細められる。そんな日が来るのかな。
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