5人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
クラブイベントでDJ.HEROなんて名前で皿を回してたこいつと知り合って、音の話で意気投合して、それからすぐ、何故かうちに入り浸るに至って1ヶ月。
何考えてんだかわからん奴だと思ってたけど、こんなこと考えてたのか。まさかの下心で入り浸っていたとは。
……って、俺に対して下心?
ヒロは俺に出したグミを食べてもらえないのに気が付いて、俺の軽く開いてた唇の間にグイッと押し込んで来た。吐き出すわけにもいかないから、とりあえずそれは食べる。
「それ、何作ってるの?」
「曲」
「わかってるよー。誰の?」
「ファクト」
高校時代からのツレがいるアイドルグループだ。今や押しも押されぬ国民的アイドル。去年使ってもらった俺の曲は当然の如く大ヒット。もちろん、友達枠なんかないから、実力でコンペを勝ち抜いた、ってことだけは言い添えておく。
「おーっ! またガッツリ稼いじゃうじゃん」
「コンペがあるから」
「そっかー。タナリュパイセンの友達でも特別扱いないんだね」
タナリュウってのが俺のツレ。棚瀬竜一の略だ。んで、ヒロがいたのと同じ事務所。
最初のコメントを投稿しよう!