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「それがハタチの趣味か」
「いいじゃーん」
そんな実用性のないもんはいらん。
っていうか、こいつに車を買い与える理由がない。運転手も募集してない。コルベットがいくらするのかは知らないけど、100円だとしても無駄だ。
「いらない。何でもいいから邪魔すんな」
頬杖を解除して、パソコンの画面に向き直る。どうせ買い物するなら、そろそろこのマックを新しくしたいよな。これもめちゃくちゃ高かったんだけど、大した稼ぎがない頃に先行投資で無理して買ったんだ。業界では、こういうパソコンを使う音楽制作ソフトが主流になって来た。その流れがあったから、作曲家活動をして行くなら、早くからマスターした方が勝ちのはずだと思ってさ。なんたって、来年から新世紀が始まるんだから。
「シンリさん、コーヒーいれよか?」
「ああ」
この1ヶ月、俺の作業を横で見てるだけある。コーヒーが欲しいタイミングくらいはわかるようになったな。それだけは褒めてもいいか。
「じゃ、ちょっと待っててねー。シンリさん、一人で寂しいと思うけど」
「寂しくない。どこまでコーヒーいれに行くんだ」
「キッチン。さよならのちゅうしてあげよか」
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