GAME

4/17
前へ
/17ページ
次へ
「それがハタチの趣味か」 「いいじゃーん」  そんな実用性のないもんはいらん。  っていうか、こいつに車を買い与える理由がない。運転手も募集してない。コルベットがいくらするのかは知らないけど、100円だとしても無駄だ。 「いらない。何でもいいから邪魔すんな」  頬杖を解除して、パソコンの画面に向き直る。どうせ買い物するなら、そろそろこのマックを新しくしたいよな。これもめちゃくちゃ高かったんだけど、大した稼ぎがない頃に先行投資で無理して買ったんだ。業界では、こういうパソコンを使う音楽制作ソフトが主流になって来た。その流れがあったから、作曲家活動をして行くなら、早くからマスターした方が勝ちのはずだと思ってさ。なんたって、来年から新世紀が始まるんだから。 「シンリさん、コーヒーいれよか?」 「ああ」  この1ヶ月、俺の作業を横で見てるだけある。コーヒーが欲しいタイミングくらいはわかるようになったな。それだけは褒めてもいいか。 「じゃ、ちょっと待っててねー。シンリさん、一人で寂しいと思うけど」 「寂しくない。どこまでコーヒーいれに行くんだ」 「キッチン。さよならのちゅうしてあげよか」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加