GAME

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 今みたいに絡まれることもあるんだけど、それは決まって俺の集中力が途切れ始めたタイミングだ。俺が集中できてる間は、あいつは大人しくうろちょろしてる。あれで案外、空気は読んでる。  だから、真剣に追い出す気にならないんだ。別にいいか、ってレベルで。ちょうど気分転換にもなるし。そうすると集中する時にはかなり集中できるから、逆にメリハリがついて効率はちょっと上がった。  今書いてる曲の大枠はできてる。メロディラインとコード進行がわかる程度のギターは入れた。これでデータ提出してもいいんだけど、せっかくプロツールスっていう便利なソフトがあるんだから、ざっくりのドラムとベースも付ける。その方がイメージが伝わりやすいだろ?  それが済んだら、歌詞を書く。詞を書くにも、そこまであった方が俺はやりやすい。何をテーマにして書くかは、まだ考えてない。  ちゃんとしたアレンジをするのは、採用が決まってから。エイトビートのドラムと、コード進行に則ったベースを入れるのは単純作業だ。これはサクサク進む。 「ただいまー! シンリさんのコーヒーだよ!」 「おう、サンキュ」
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