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明るい声に振り向くと、トレイを持ったヒロがトコトコとやって来て、サイドテーブルにコーヒーカップを置く。その隣には、こんがりと焦げ目のついた……。
「お、クレームブリュレじゃん」
「シンリさん、好きしょ?」
つい、笑顔で頷く。スイーツは好きだ。特に、こんな頭を使ってる時に食べるスイーツは脳に染みる。
「シンリさん可愛いー」
俺の笑顔を見て、ヒロは嬉しそうに笑う。
「可愛いかよ、30のおっさんが」
ちょっと恥ずかしいな。男でスイーツ好き、しかも30。はっきり可愛いって言われると、改めてそれを思ってしまう。
「可愛いよー。これ、原宿の」
「ああ、あそこか!」
昨今のクレームブリュレブームでとみに有名になったスイーツ店だ。美味いのは知ってるけど、混んでるだろうと思うと面倒で、買いには行ってなかった。
「そうそう。食べたことある?」
「まだ」
「じゃーあ……」
ヒロはスプーンを手に取って、クレームブリュレのパリパリの表面に入れようとするから、慌てて止める。
「待て」
「あーんしてあげるよ」
「いらんし、そこが醍醐味だろ。クレームブリュレは」
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