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クレームブリュレを指さして言うと、少し首を傾げて考える。
「……じゃあ今度から買ってこない」
「ふぅん」
別にそれで普通だし、こいつにスイーツを買ってもらうことなんか期待してない。こいつはただの学生でしかないんだから。学生の財布をあてにするほど、落ちぶれちゃいない。
「えっ、うそ。今のうそ。買ってくるから付き合ってよ」
「買ってきても付き合わない」
安く見るなよ。俺はこいつのことを好きでも何でもないし、こいつだってどうなんだか。ただのノリじゃないかな。
ほんとにこいつは、ノリと人当たりだけで生きてるようなお調子者だ。
UKロックのイベントでベラベラ喋りながらモーニング娘。をかけ、オーラス前のフロアをぶち上げてたDJが、DJ.HEROだった。DJテクニックってより、MCで回してる。こんな面白いヤツ、なかなかいない。だから、フロアから降りても人に囲まれてた。友達も多いみたいだし、初対面の人間ともすぐに打ち解ける。
世渡り上手ってとこだ。俺とは違って。
「なーんでー? とりあえずエッチしよ」
「するか」
「エッチしたら付き合いたくなるかもよ?」
「最初のハードルが高すぎるだろ、それ」
物には順序がある。俺には、付き合ってもない人間とセックスをする選択肢はない。
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