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俺が作業するマウスの隣に顎を乗っけて、ヒロはにこーっと笑って言った。
「じゃあ、エッチしよ」
一度は某有名アイドル事務所のオーディションに合格したっていう甘いマスク。くりっとした目は小動物みたいで可愛らしい。
しかしだ。
「は?」
あまりに唐突な台詞に、さっきまで何を話していたのかもぶっ飛んで、反射的に聞き返す。
「エッチ。俺、上手だからさぁ」
「あ?」
それを俺に言う必要性って何なんだ。
「そろそろシンリさん、息抜きした方がいいよ? はい」
もっともらしいことを口にしながら、手元の金色の袋からグミを一つ取り出し、俺の口元に差し出す。そのオレンジ色のクマも可愛いけど、やっぱりそれ、今じゃないだろ。
脳みそ沸き立ってるんじゃないか、こいつ。ヘラヘラ軽いヤツだとは思ってたけど、下半身まで軽いのか。
ぶっちゃけ、こいつのことはよく知らない。中学生の時に一瞬だけアイドルだったとか、俺より10歳下だとか、渋谷の音楽専門学校に行ってるとか、その程度だ。
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