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昼食を食べそこねたのか、忙しさで忘れたのか、夕方になってようやく休みなく働くイサさんのお腹がぐーっと鳴った。
「今日は売れたな。もう閉めよう。夕飯食べに行かない?」
イサさんが誘ってくれる。
「まだ4時ですよ」
夕飯前にまた混雑するのではないだろうか。
「そこそこ売れたからいいよ。忙しくて嫌だなって思ってない? 暇なときは本当に暇なんだよ。パンを更に焼いてラスクにしちゃうくらい」
「それもおいしそう」
「今度作ってあげるね」
「はい」
甘すぎないラスクを作ってもらおう。
「なに食べ行こうかな?」
さっと階段を駆け上って着替えるついでにシーツを取り込んでくれる。手を取るようにわかる。間取りのせい? 古い家のせい?
イサさんは上半身だけ白衣。それと白い帽子。男前ではない。愛嬌のある顔。近づかないとわからないけど、瞳が茶色だなって既に幾度が思ってる。
私が162センチだから身長は175ないくらい。自分の好みもないからわからないが、そんなに嫌いじゃない。嫌いだったら抱かれてない。むしろイケメンじゃないほうが安心する。
「行こう」
「はい」
お店の鍵を締めて出かける。
あ、影になってくれている。その優しさ、たぶん私しか気づかないだろう。欲さないし、むしろ迷惑な人もいる。
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