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日曜は朝もお店は暇。みんな休日を堪能しているのだろう。あまり世の中に興味がなかったから、今やっと世間の動きを垣間見ている。
「マヨネーズ作ってみようか?」
お店の厨房でイサさんが言い出した。
「作れるの?」
「たぶん」
イサさんがおじさんのレシピを見せてくれる。男の人なのにすごくきれいな文字。
「そんなに難しそうじゃないと思うんだ」
そう言いながら冷蔵庫を漁る。
「やったことないんだ?」
「おじさんは作ってたけど、買ったほうが味も保障されてるし。時間もないし」
確かに忙しいけれど、私がいるから時間の余裕もできたはず。
「言い訳?」
目で文字を追いながら手を動かす。
卵黄を攪拌してお酢などを入れて混ぜ続ける。
「それっぽくなってきた」
舐めてみる。
「もうちょっと塩ですかね?」
「ですね」
なんとなくはっきりしない味だ。
「これがお店の味?」
「さあ、どうだろう?」
「たまごに混ぜてみましょう」
「うん」
パンに挟んでもぱっとしない。
「これこそからしマヨネーズで誤魔化しちゃいましょうか?」
「マスタードならあるよ」
パンにマスタードを追加で塗ったらおいしかった。
「おいしい」
「でもやっぱり子ども向けじゃないな」
指についたマスタードに舐め方がエロい。
「ハンバーガーにも合いそう。それなら子どもも食べますよ」
「うーん」
考えあぐねて、たまごサンドイッチ(粒マスタード入り)とポップに書くあたりがイサさんの真面目さを表している。
日曜は甘いパンが多め。クロワッサンの生クリームサンド、メロンパン、メープルのデニッシュ。お昼前だけちょっと混んだ。
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