ホワイティ

１

僕がはじめて「彼ら」に出会ったのは友達Aの家だった。
その日、僕はAの家にお邪魔して一緒にゲームをしていた。
しばらくすると、Aが突然「ブラウン、４時にアラームして。」というので僕は戸惑った。
意味が分からずAに尋ねると、テレビの隣にちょこんとしている筒状のくま、ブラウンを指した。
Aが言うには、ブラウンはメールを送ったり会話したりすることができるそうだ。
また、今回はゲーム時間のやりすぎ防止にタイマーをセットしたとのこと。
僕は驚いてブラウンをAの家に行くたびに見せてもらった。

ある日、Aの母がいるときにブラウンを見ていたのだが、
「中には小さなおじさんがいて、何でも答えてくれるから便利でしょ？」と、少し笑いながら言った。

僕はかなりの衝撃を受け、動揺した。
あんな小さなくまの中に人が入っていると言われたからだ。

「アイツをからかうなよ。」と、Aは母に注意するが、僕には聞こえずその日からずっと小さいおじさんのことで頭がいっぱいになり、学校の授業に身が入らなくなった。

ブラウンはおもちゃじゃないのか？
小さいおじさんは誰なのか？
どうやってタイマーが鳴っているのか？（おじさんが鳴らしている？）
食事は？生活は？狭くないのか？

僕は悶々と考えた。
誰かに相談しようかと思ったが、Aが家族ぐるみで人を閉じ込めているという事実を話してしまったら……。
とても怖くて言い出せなかった。