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初恋は実らないという。
それはきっと、初めて恋をする年齢が幼すぎるからじゃないだろうか。
『初恋はいつですか?』
その問いに、人はなんて答えるのだろう?
高校の時?
中学?
それとも小学生?
中には幼稚園の時と答える人もいるかもしれない。
中高生ならともかく、小学生や、ましてや幼稚園生が誰かを好きだからと言って、その人に告白するだろうか?
たとえもし相手に思いを伝えたとしても、その幼さゆえに上手く伝えることも出来ず、または本気にとってもらえないかもしれない。
だからきっと、『初恋は実らない』といわれているんだと思う。
「何を考えてる?」
うつ伏せに上体を預けた机の端を握り、腰を打ち付ける衝撃に耐えていると、上から声がかかる。
「オレが中にいるというのに他のことを考えるなんて、余裕だな」
そういうと僕の腰を握る手に力を込め、腰をぐっと深く押し付けた。
その瞬間強まるアルファのフェロモン。この濃い香りが僕を包み込み、そしてオメガの性がその香りにさらに欲情する。
「・・・ぁっ・・・・・・っ」
奥を抉られ、どうにか漏れそうになる声を飲み込む。そして言葉を絞り出す。
「・・・先・・・生も・・・でしょ・・・?」
僅かに首をひねって後ろを振り返ろうとした途端、腰の動きが激しくなる。
ガンガンと腰を打ち付けられる度に、腰骨が机にぶつかって悲鳴をあげるも、それを耐えながら終わりが近いことを悟り、自らも同じタイミングで果てようと意識的に高めていく。そして不意に左の膝裏に手をかけられ抱えあげられた瞬間、更に深く最奥を突かれ、僕は身体を硬直させる。そして。先生も同じタイミングで息を詰めた。
そして僕達は同時に果てることが出来た。
なかなか二人同時に達するのは難しい。特にそれをしなければいけないとか、それを求められている訳では無いけれど、何となくいつも同時にイキたいと思ってしまう。
一人で先にイクのも、あとからイカされるのも嫌だ。
そんなことを思いながら僕は事後の始末をする。
外でする時は他を汚したくないので自分もゴムをつける。それを手早く外して口を結ぶとティッシュに包んで捨て、そして身支度を整える。
「今回の試験。なかなか良かったぞ」
後ろで同じように身支度を整えている先生にそう言われ、僕は振り返って微笑んだ。
「ちゃんと勉強しましたから。先生とこんなことしてるからって、成績を良くしろなんて言いません。ちゃんと実力で成績を取ります」
僕はそう言うと荷物を持った。
「・・・今日はバイトか?」
背中にかかる声。その中に含まれる微妙なニュアンスを感じとる。
「そうですけど・・・終わったら、行きましょうか?」
横目でちらりと視線を送ると、先生は下を向いて右手で髪をかき上げた。
「・・・頼む」
「分かりました」
僕はそう返事して部屋を出た。
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