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まるで洪水のようなその音は初めは遠くから聞こえてきたが、段々と近づいて来る。
それはブラックホールのように渦巻いて僕を飲み込もうとしているように感じた。
「はっ」として起きた時汗でTシャツがびしょびしょだった。
なんのサインなのだろうか?どっかで見たことないだろうか?
時計がカチッと小さな音を立てて3時指した。それと同時に再び眠りのスイッチが入ったのだった。
朝には、昨夜の渦巻きの夢など覚えてるわけがなかったが眠りが浅く目覚めが悪かった。
ぼんやりとした一日は仕事の喧噪と共に過ぎ、いよいよ終業の社内アナウンスが鳴り、僕の中で再び戦闘準備を整えた。
寺田とのこのようなデートの機会はそうそう訪れない(淡い期待でこれからは何度も訪れるかも)と期待と失意を交互に入り交じるドキドキしていた。
彼女が教えてくれた店は中流の上と言ったところ。僕はラフなジャケットとシャツで『気張ってないぞ』感を出そうとし過ぎたかなと後悔する。寺田さんはドレスとまではいかないけど誰もが振り向くだろう素敵でハイソな衣装だった。誰かが僕らをジャッジしたなら僕は寺田さんの付き人以上執事未満といったところか。
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