0人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日。
「北条君、ごめんなさい」と寺田さんが頭を下げてくる。
「私、パスワードを盗んであの班長のせいにしたかったの。私がバカだった、、、」
聞くと寺田さんは係長からセクハラにあっていて係長からキーワードを盗み出して係長に罪を被せようとしていたようだ。
「ホント〜〜にゴメン! 急に怖くなっちゃったの。私どうかしてたわ」
と手を合わせる。
僕は余裕を持って彼女の言葉を聞いていた。そうだったとしても僕と付き合って欲しい気持ちは変わらないのだろう。
「いいさ、女の子のそういう気持ちってわかる気がする。気まぐれな秋の空のようで僕は慣れっ子だけどね」
そう言って髪をかき揚げ笑顔をみせる。完璧なタイミングで開けておいた窓から風が入り髪を靡かせイケメンのいっちょ上がりだ。
そして、今日、いよいよ、寺田さんと一夜を、、、。
「でも、セクハラ係長のヤツ、ギャフンと言わせたいよね、、」
「係長の事は部長に報告して辞任しました。ありがと」
寺田さんは軍人のような速さで回れ右すると廊下をツカツカと歩き(走る?)角を曲がり姿を消した。
「あの、今夜、デ、デートは、、ねえ??」
そう言う暇なんてもうすっかり過去だったように窓の風が冷たかった。
すると、昨夜みた不動明王が僕の頭の中でボンと音をたて現れた。
「危ういところじゃったのう、巻き込まれてたら大変じゃったのう。ワシのおかげじゃ、カカカカ」
「ワシのおかげ?ねえ、僕、振られちゃったんですけど」
「なに、あれで良かったのじゃ。ホレ、特別に魔除けもプレゼントしよう。もうこのような性悪女が寄ってこないようにな」そう言って姿を消したのだった。
それは、どこで撮ったのか天井にシャンデリア、横に綺麗で派手なドレスの女と一緒にピースサインしてる不動明王らしい人が笑顔で写っている。
僕は無性に腹ただしくて、その写真を地面に叩きつけたのだった。
おわり
最初のコメントを投稿しよう!