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6
朝もやの中で自律型多脚兵器が、また喋りだした。
「……周辺走査を開始。標的1、返死人、攻撃開始。標的2、返死人、攻撃開始。標的の破壊を確認できず。再度攻撃……。標的1、返死人、攻撃開始。標的2、返死人、攻撃開始。標的の破壊を……」
弾倉が空になった武器が虚しくカチカチと音を立てる自律型多脚兵器を尻目に、わたしはチラリと彼に視線を向けた。まだ怒っているんだろうか。
それはそうだろう、彼はまだ死肉を貪っているんだから。彼の胃袋が一杯になったら、また様子を見てみよう。
いえ。死肉についた腐敗菌が、それだけを腐らせて体外にきれいさっぱり流し出すまで待ってみようか。そして謝ろう。
「ごめんね。あなたの左腕だけじゃなく、右目まで抉り取ってしまって」って。
とにかく彼はもう、わたしと同じように眠ることも、美味しい水を飲むこともできなくなったけど、代わりに穏やかに流れる時間のさざ波を肌に感じることができるようにはなるはずだ。それは、きっと心に平安を与えてくれる。絶えず食べ、絶えず眠り、絶えず不安に苛まれる生活を強いられる人間には、とうてい手に入れられないものだ。
でも、彼を守ってやりたいという気持ちは急速に薄れてしまった。だって彼はもう、か弱くも愛らしくもなくなってしまったのだから。
それだけは、ちょっとだけ寂しい。
そうだ。
集落に帰るとき、彼と訪れたスーパーマーケットに寄ってみよう。倉庫の中は見なかったから、新しいワンピースがあるかもしれない。
それに帰り道で、また出会うかもしれない。
守ってやりたくなるような、か弱く愛らしい彼のような人間に。
了
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