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しかし、続く地蔵の呟きに、崇の全身に冷や汗が滲む。
「河島崇…✕✕市■■3番地…大学3年…経済学部…。」
聞こえてくるのは崇の個人情報…。
「9月24日…天秤座…A型…サッカーサークル…右利き…176センチ…68キロ…。」
「なんで…俺のほうが詳しいんだよ…?」
嫌な予感が止まらない。歯がカチカチ鳴る。
子どもの頃のあだ名、卒業した高校、サークルでのポジション、どんどん詳しくなる情報は、狙いが崇なのだと理解させる。
「うわぁ!!」
たまらず、再び走り出す。
ゴットン。ゴロン、ゴロン、ゴロリ、ゴロゴロゴロゴロッ!
追ってくる音がどんどん近付いてくる。全力で走っているはずなのに進んでいる気が全くしない。
ミシッ。
妙な音が足元で鳴った。
次の瞬間、崇は足がもつれて道路に倒れ込んでしまう。
倒れる間際、崇はもつれる自分の足を確認し、目を疑った。
見たことがない方向に足が曲がっている。
受け身もとらずつんのめるように道路に転がり、遅れてやってきた激痛に泣き叫ぶ。
「っっ!ああ゛あ゛あ!?」
だが、怒り地蔵は容赦しない。躊躇しない。
菜々美にやったように、崇の背を目がけ跳び乗る。
「ガッハ…!」
重さと衝撃に息が止まる。しかし、激しい痛みが気絶すら許さない。
ドスン!ドスン!
怒り地蔵が崇の上でも跳ねる。
バキッ。ミシッ。ボギッ。
衝撃と共に体の奥から異音が響き、激痛が津波のように襲いかかる。
「た、す……け…………。」
崇の祈りは、もはや声にならなかった。
そのまま、彼の意識は限界を迎え、恐怖と痛みのなかで暗転した。
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