チビとは違う

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チビとは違う

こんな小さな子猫なんて、どんなふうにすればいいのかなんて知らなかった。 なのに、不思議なことにやるべきことは勝手に体が動いていた。 夏でも体温維持の為に、湯たんぽで保温してあげて。 ミルクはまだ哺乳瓶が使えないから、病院でもらったシリンジで少しずつ、粉ミルクを作ってあげて。 飲ませたら、お尻の辺りを指でチョンチョンと刺激してオシッコをさせて。 何故、そういうことができたのか、さっぱりわからないけど。 少し成長してきてワクチンを打ちに病院に連れて行った。 オスだった。 タロ君。なんとなくオスっぽいからと娘と付けていた名前。 「あんたさぁ、チビの生まれ変わりみたいだけど、よっぽど焦ったんだね?柄もちょっと違うし、オスメス間違えてるし。でも、また来てくれてありがと」 タロとチビとは違う。 でも、チビの生まれ変わりだと思った。 それから3年ほど。 娘と夫が、もう1匹猫が欲しいと言い出した。 「スコティッシュがいい!」 「だめ!お金で買うのはダメ!何か事情があって、うちでなきゃ飼えない理由があるなら考えるけど。それに、もう絶対、お姑さんが許してくれないよ」 しばらくして、娘が捨て猫を連れて帰ってきた。 勤めているモールのガードマンの詰所の前に紙袋に入れて捨てられていて、明日には保健所行きだと言われた猫。
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