チビとは違う

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「この子、後ろ足が折れてるみたい、ずっと鳴いてるし」 紙袋の中で、ニャーニャーずっと鳴いてる子猫。 持ち上げてみたら、右の後ろ足がだらーんとしていておかしな方向に曲がっていた。 「とにかく明日、病院に行って診てもらおう」 そんな話をしていたら、火がついたように怒ってきたお姑さん。 「そんなん、さっさと山にでも捨てて来い!猫は1匹でいい!」 私と娘は無視した。 生まれつきの奇形。 この種類の猫にはよくあること。 おそらく…このこはスコティッシュ。 テーピングで固定して、このまま固まればなんとかなるけど、もしもダメなら切断することになるかもしれない、その時は大きな病院を紹介します、と言われた。 それでも、テーピングの仕方を教えてもらって、3日に一回通院して足を固定した。 獣医さんは、ただでテーピングをしてくれて、ひきずってできた傷も治療してくれた。 この子は後ろ足が悪いので、トイレのたびにお尻周辺が汚れてしまう。 なので毎回洗面器にぬるま湯をいれて、洗ってあげて…。 そんな日が2ヶ月ほど続いた。 その間も、お姑さんとはずっと喧嘩していた。 里親を探しても、この足では誰もひきとってくれなかった。だからうちで飼うと言い張った。 先住猫のタロは、ニャーニャー鳴いてる小さな新入りの体を毛繕いしてくれていた。 「大丈夫だよ、安心して」 タロはそう言っているようで、うれしかった。
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